県天然記念物 穴沢クジラ化石 現地に産状のまま保存現場へ行く!
県指定 天然記念物クジラ化石
松本市四賀化石館には、地元の小学生が発見した「クジラの歯の化石」から、昭和63年6月保福寺川の護岸で発掘を開始し、四賀化石館のメイン展示になっている「四賀マッコウクジラ」が有名ですが、
それよりも以前に発見されたクジラの化石が発見現場に産状のまま保存されているクジラ化石があります。
松本市街地から四賀地区の国道143号線を車で走り目印は、四賀B&G海洋センタープールの案内看板が見えたら右折します。1本道をどんどん走って行くと、「鯨の化石」の看板が見えます。駐車場はありませんので、広い路肩に車を停めます。
細い道を3~5分ほど歩くと斜面に階段が見えてきます。
穴沢川にかかる橋を渡り階段を昇っていくとガラスケースに保存された化石の1部見ることが出来ます。
くじらの化石
穴沢川の橋を渡り階段を昇っていくとガラスケースに保存されたクジラ化石を見ることが出来ます。
旧四賀村一帯には泥や粘土が堆積して出来た泥岩が広く分布し、 別所層と呼ばれています。別所層は別所温泉付近を模式地として付けられた名前ですが、泥岩が多く、一部に薄い砂岩や石灰岩をはさんでいます。
貝の化石や魚のウロコ・骨くじら時には植物の化石を産出します。
昭和11年に穴沢川の砂防工事中に発見されたクジラの化石です。発見されたときには、12個の脊椎骨と8本の肋骨が見られました。しかしその位置が移動し正しい位置を示していません。それは堆積してから後の隆起を伴う圧力によってその位置が変わったものです。
このクジラは正確にはわかりませんが、ハクジラの一種と考えられています。
クジラの化石は新第三期時代の堆積岩の中から1個あるいは2個の堆骨や肋骨が出てくることはありますが、12個もの脊椎骨が並んでいる例はありません、大変珍しいことなので、昭和13年に長野県の天然記念物として指定され、現地に保存されているわけです。貴重な化石ですから大切に保存しましょう。 理学博士 田中邦雄(現地の説明文より)
- 指定等区分 県天然記念物
- 指定年月日 昭和48年(1973)3月12日
- 種別 地質鉱物
- 所在地 松本市取出大平1236-1
- 所有者 松本市
標高650m、かつては海の中でした
穴沢のクジラ化石は、昭和11年12月穴沢川の砂防工事中に発見されたものです。
別所層(1500万年前海に溜まった泥岩層)の地層から出土し、昭和48年長野県天然記念物に指定されました。
指定は「脊椎骨12個 左側の肋骨2個 右側の肋骨6個 他に棒状の骨1個」で頭部は欠けていますが、歯クジラの仲間の化石と推定されています。
化石は、発見後現地に産状のまま保存され、展示公開されています。(松本市HPより)
*現地の説明文には、昭和13年に県の天然記念物として指定されたと書かれていますが、長野県・松本市HPでは、昭和48年に長野県天然記念物に指定されました。 と書かれていますが、真相はわかりません。
発見から80年ほど経ち風化が進んでいます。2018年秋ごろより修復作業がおこなわれたそうです。
20年ぶりくらいに再訪しました。化石館でクジラの化石の展示などを見ていたので、とても興味深いでした。
四賀化石館
松本市四賀化石館には、「世界最古のマッコウクジラの化石」が展示されています。
併せて訪れると更に楽しいと思います。
四賀化石館HPより
松本市の北部に位置する四賀地区は、新生代新第三紀の別所層や青木層などの化石を多く含む地層が分布し、県内でも有数の海生哺乳類化石(クジラ類、鰭脚類)の宝庫として知られています。
昭和61年(1986)、保福寺川の露頭で地元の小学5年生がクジラの化石の一部を発見しました。これを受け、昭和63年(1988)に四賀村(当時)によって大規模な発掘が行われ、マッコウクジラの全身骨格化石の掘り上げに成功しました。
これは環太平洋で2例目、全身骨格としては世界最古の大発見となり、シガマッコウクジラと名付けられました。四賀化石館は、このクジラの全身骨格化石をメインに、旧四賀村内外から採集されたクジラ類やアロデスムス、貝、植物などの化石を収蔵・展示する目的で1989年(平成元年)に開設されました。