江戸時代には、杣たちの仕事場だった上高地。木材が切り出され、梓川を使って松本城のあたりまで切り下げが行われていました。明治になるとウェストンなどの今でも名の残る登山家たちが槍ヶ岳や前穂高岳に登頂し、徐々に大衆登山(修行ではなく楽しみとしての登山)として山が開かれていきました。そして同時に明治時代には自然保護意識も芽生え、高山植物の採取禁止や植林などが行われ始めました。バスターミナル付近や小梨平のカラマツ林は大正時代に植林されたものです。1915年には焼岳が大噴火し、その影響で梓川がせき止められ、大正池が現れました。大正~昭和の初め頃より登山者でにぎわうようになり、観光地としても有名となっていきました。
神が降りる地だから神降地(かみこうち)と呼ばれたという一説があるほど、どこを切り取っても美しい上高地の景色。幻想的な雰囲気を醸し出す大正池。上高地のシンボルでもある河童橋から望む穂高連峰。真ん中を流れる水色の梓川。透き通って川底の水草が美しい清水川。明神池(みょうじんいけ)の畔には穂高神社奥宮があります。澄んだ水面に立枯れ木が点在する幻想的な岳沢湿原。かつての牧場の面影を残す徳沢。木々の中に続く遊歩道。一帯が中部山岳国立公園に指定されていたり、通年マイカー規制が行われていたり、現在でも様々な形で上高地の自然は守られています。
上高地は様々な楽しみ方ができます。日帰りで自然散策するのも(足を休めがてらおいしいケーキとコーヒーも!)、一泊して朝の上高地散歩を楽しむのも、家族でキャンプするのもよいかもしれません。上高地の自然に詳しいガイドさんの案内と共に散策するのもおすすめです。
鈴木ともこさん一家の上高地案内ブックと上高地散策マップ(PDF)もご参照下さい。