松本市歴史の里「建築講座2019」レポートⅡ
松本市歴史の里建築講座2019「松本の産業遺産」島内・城山現地見学会。
前回の続きです。
新橋から
新橋は松本と安曇方面をつなぐ交通の要衝。貞亨年間(1684~1688)頃には既に橋が架けられたそうです。
(当時の様子が書かれています)
新橋1世代前のデザインに記憶のある方もいると思いますが尖塔アーチが連続した欄干で、これもアールデコっぽい雰囲気でしたね。
その当時のモノと思われる両端の柱頭が残されていました。この懐かしい感じは近代化遺産の一部ですね。
当時は古臭いと思っていましたが、それが地方の個性なんですね。今では懐かしく思われます。
*現在の橋は昭和60年(1988)竣工
考えてみれば現代の街並もそうですが、均一化されて何処の都市も同じに見え個性が無くなった気がしています。
(新橋の旧道。街道の雰囲気が一部残っています。)
国道19号線とJR篠ノ井線をわたり城山配水地に向かう途中にレトロな石階段と遭遇・・・用途不明で不思議な場所でした。
登る事80m松本市上下水道局城山配水地に到着。
先の第一水源よりポンプアップされた水はここで沈殿浄化され後、北アルプスの天然水が市街地へ流下されていました。
(国の登録有形文化財*現在は使用されてません)
ポンプアップされた水を一時的に受け止める配水層。力の入ったアールデコ風のデザイン。
鉄筋コンクリト造の躯体の外壁に煉瓦や花崗岩と微砕石洗出しで意匠を施しています。
沈殿槽の入口がイギリス積の煉瓦造。沈殿槽はアーチ状の鉄筋コンクリート造でした。
(今は無き旧山崎歯科医院と同じ積み方。お~こで生きていましね。)
当時は公共施設にこれほど力を注いでいたのだと、松本の元気を感じました。
沈殿層は半地下の構造で地上2.5m位の高さです。上部には芝が植えられ自然の断熱材としての役割を果たしています。
現代でも見習いたいグッドアイデア。見た目も有機的で好感が持てます。
その芝のメンテナンス用の階段です。
先ほどの石段と同じデザインですね!この場所に来るための一部だったのでは・・・。
近代化遺産の消えるスピードが加速する中、この様に少しでも残される事が松本の魅力に繋がっていくのではと思いました。
この後、文化財課の学芸員の方から犬甘(いぬかい)城跡の説明を受けました。
面白かったので次回に続けます。