西穂高 丸山登山《冬期》
西穂高の丸山は松本市と岐阜県高山市にまたがる標高2452mの山。西穂山荘から西穂独標の間に位置する。
丸山へは上高地の西穂高登山口からのルートもありますが、今回は冬山初心者にお薦めの岐阜県新穂高温泉からのルートを紹介します。
西穂高 丸山 冬山登山 地図
松本からのアクセス方法
マイカーの場合:松本インターチェンジから国道158号線を上高地・高山方面に向かう。安房(あぼう)トンネルを抜けて岐阜県に出たら国道471号線を北に向かい、栃尾温泉で右折して県道475号線に入り、新穂高温泉に向かう。新穂高ロープウェイには駐車場があります。
公共機関利用の場合:
松本電鉄バス松本高山線バス停「平湯温泉」下車して、濃飛バス松本線に乗り換え バス停「新穂高温泉」下車
松本電鉄バス 松本新穂高温泉線 バス停「新穂高温泉」下車
濃飛バス 松本線 バス停「新穂高温泉」下車
※松本インター前には駐車場がありますが、週末には満車になる場合があります。ご注意下さい。
1日目
8時00分バス停「松本インター前」から松本電鉄のバスに乗って出発。9時15分「平湯温泉」下車。乗り換えて9時20分「平湯温泉」出発。9時53分「新穂高温泉」到着。細かいことですが、バスに乗っている間アナウンスに違和感を感じました。それは「シンホダカオンセン」と言っていたからです。「穂高」を松本周辺の人たちは「ホタカ」と言います。「ホダカ」が標準語なのでしょうか?
「新穂高登山指導センター」で登山届けを提出。(受付の人はいません) 新穂高温泉のバスの発着所のトイレはとても暖かくてびっくりしました。
5分も歩かずに新穂高ロープウェイの新穂高温泉駅に着きます。新穂高ロープウェイは標高1117mの新穂高温泉駅から2本のロープウェイに乗って標高2156mの西穂高口駅まで一気に昇ります。第2ロープウェイは2階建てになっています。新穂高温泉駅の昇りの改札では手荷物が8kg以上の場合は300円支払います。私たちのグループのリュックの重さは、女性9kg、男性11kg超えでした。
新穂高温泉駅から西穂高口駅までは並んでいる時間やロープウェイの出発時間などもあり、40分ほどかかりました。余裕を持って計画をたてると良いでしょう。
西穂高口駅の屋上展望台は素晴らしい眺めです。登山ではなくてもここまで来るだけでも十分楽しめます。人気スポットらしく大勢の人がいました。
西穂高口駅〜西穂山荘 130分(休憩含む)
まずは、スパッツとアイゼン(私は軽アイゼン)を装着。西穂高口駅の周辺は登山をする人ではなくても散策できるようになっていて、大勢の人が歩いているので雪は踏み固められていました。散策路を外れるとしばらくは小さなアップダウンが続きます。次にひたすら登り坂になるのですが、ここからは傾斜がきつくなり軽アイゼンでは足が滑ってしまいます。スノーシューは持って行ったのですが、私のは平原用でこの傾斜には対応できないため山用のスノーシューを貸して頂きました。かかとが上がっているのでとても歩きやすかったです。今度買うなら山用のスノーシュにしたいと思いました。急な傾斜ではスノーシューを履いていても滑ってしまい、踏み固めてある雪を崩してしまったので後ろを歩いていたアイゼン履きの方は歩きにくかったと思います。
所々にビューポイントがあり、素晴らしい眺めを堪能しました。冬山は何て美しいのでしょう。空も青と言うよりも藍です。
西穂山荘
西穂山荘には13時15分に到着しました。がんばれば丸山に行くこともできたと思いますが、冬山初心者が私のほかにも2人いたので大事をとって山荘でゆっくり休みました。冬の山小屋はとんでもなく寒いだろうと思っていたのですが、西穂山荘はとても温かくて驚きました。窓ガラスには緩衝材(プチプチ)が貼られ断熱の工夫がされていました。出発前に西穂山荘のホームページを見て名物の「高山ラーメン」を「コウザンラーメン」と読んでしまい、山で出されるラーメンは一体どんなものだろうかと思ったのですが、良く考えてみれば「タカヤマラーメン」でした。。
夕食18時。高山ラーメンも食べたかったのですが、いろんなおかずを頂きました。汁物がちょっと不思議な味がしました。ショウガの味だったと思うのですが、ラーメンの話の後だったせいか仲間はラーメンの汁の味ではないかと言っていました。真相はわかりませんが、おいしくておかわりしました。
夜は雪と強風で星を眺めるどころではありませんでした。広々とした談話室がありストーブをみんなで囲み、暖かくて気持ちがいいので別のグループの方々とも話がはずみます
2日目
朝食は6時30分でした。
雪もやみ幻想的なご来光でした。
西穂山荘〜丸山 60分(休憩含む)
西穂山荘7時30分出発。スノーシューやアイゼンを履いて丸山に向かいます。山荘からの上り口は急な傾斜です。最初から大変で先が思いやられましたが、しばらく登ると緩やかな傾斜になりました。しかし、ストックがまっすぐに突けないほどの強風!!目出帽をかぶっていたのですが、鼻から出た息はサングラスに当たって凍りつき白くなってあまり良く見えません。覆いを下げて鼻から離すと、風で舞い上がった雪が氷の粒のように激しく顔に当たりとても痛くて耐え難いものがありました。それでも西穂高や上高地など素晴らしい光景を眺めると瞬間的に辛さはなくなってしまいます。
運良くブロッケン現象が見られ、大きく手を振ってみたりしました。風上に向かって真正面に立っていたのですが、こんな時には夢中になっているので顔は痛くもかゆくもありませんでした。気温はわかりませんが、時々カメラのシャッターが下りないほどの寒さでした。仲間のカメラは全く撮れなくなってしまったものもありました。強風のためにカメラも体感温度が下がっていたのでしょうか?カメラも大事に温めてあげないといけませんね。
再び山荘の近くまで下って来ると先程の強風が嘘のように静かでした。稜線は大抵強風のようです。帽子も自分も飛ばされないように注意してください。
西穂山荘〜西穂高口駅 90分
1時間くらい山荘で暖かい飲み物を頂いたりして暖をとって再び出発。山荘付近だというのに昨夜の雪で道がどれなのかわからなくなってしまいました。雪をかき分けて下って行きました。間もなくわかったので良かったのですが、トレースは私たちが歩いていた上にありました。雪が山(壁)になっていて、トレースの窪みが全く見えなかったのです。ちょっとしたことで道が見えなくなってしまうので冬の山は怖いですね。
新雪のためスノーシューを履いていてもトレース内で何度もお尻をついて転んでしまいました。トレース内で転ぶのはまだ良いのですが、新雪の場合はトレースから外れて転ぶとそこから雪崩が起きてしまうこともあるそうです。冬の山はいろいろ怖いことがありますね。
下から丸山や西穂高を眺めるとまだ風が強いようで雪煙があがっていました。
ロープウェイで新穂高温泉まで下り、温泉に入って、13時40分発の直行松本行きのバスに乗って帰りました。
お薦めの温泉
新穂高温泉のバス発着所のすぐ脇に公衆浴場「アルペン浴場」があります。なんと無料です。信じられませんが本当です。タダですから石鹸やシャンプーなどは備えてありません。脱衣所も洗い場も丁寧に掃除されていて清潔です。「なかなかいい湯です」と言いたいところなのですが、2008年1月6日午後1時ごろの湯加減はとても熱かったです。温度は湯船の縁近くでも45度ありました。洗い場から水をホースで引き込み湯につかりながら水も当ててました。いつもこんなに熱いかは不明。下山後の温泉は熱くても幸せです。
公衆浴場の隣のトイレが暖かかったのは、温泉の熱を利用していたのかもしれません。
記者の感想
冬の山は危険がいっぱいです。長野県内にいるとニュースでよく冬山遭難の話を聞きます。「冬山に行くなんて死ぬために行くようなものだ」と子供の頃から思っていました。冬山に初めて挑戦してみた感想は、怖さもあるけれど行かないと味わえない感動があるんだ!白銀の世界と青い空、美しすぎる〜冬山の魅力を知ってしまいました。西穂高丸山はまた行きたと思う山です。雪の穴の中も青いのです。写真を撮ればよかったと思うほどきれいでした。
冬山は経験を積んでいない人だけで行くのは危険です。ガイドさんと一緒に行くことを強く薦めます。
お薦めのガイドツアー
やまたみ ほとんど毎週末に西穂高丸山のツアーが企画されています
初めての冬山
イベントカレンダー をご確認下さい
お問い合わせ先:電話0263-34-1543
【2008年1月5~6日 登山者・記事 アルプスちえみ】