鹿島槍ヶ岳 東尾根《残雪期 ワンデイ》

レベル:
山行日: 2014.04.14
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鹿島槍ヶ岳 東尾根《残雪期 ワンデイ》

冬から~春の時期に松本市から国道147号線を車で走ると、最初に見えてくる真っ白な山頂が広がるひときわ美しい山が、爺ヶ岳とこの「鹿島槍ヶ岳」です。この「鹿島槍ヶ岳」は、登山口から山頂までの標高差が2100m以上あるので、近いようで意外と遠い山なのです。

この「鹿島槍ヶ岳」には、雪のある厳冬期~残雪期にだけ登ることが出来る「東尾根ルート」というクライミングルートがあるのです。今回僕ははまた、スキーの機動力を活かしてワンデイ=1日でこの「東尾根ルート」を行ってみました!!(赤いラインが登攀ライン、山頂のコルからの緑のラインがスキー滑走ラインです)

(*今回のルートは、登山の熟練者であるエキスパートのみに許される最上級ルートですが、ご紹介したいと思います。)

 

松本からのアクセス方法

松本市内から国道147号を大町市方面へと北上。→大町市内に入る前の「上一北」とい交差点から大町温泉郷へと左折します。→大町温泉郷のところから「鹿島槍スキー場」へと右折して進んで行きます。→そのまま県道を終点の登山口まで行きます。

 

鹿島槍登山口~一の沢の頭

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まだ深夜の1時に「鹿島槍ヶ岳登山口」に到着。スキーとクライミングの用意をして、ヘッドライトの明かりを頼りに最初は林道を歩いて行きます・・・。30分ぐらい行くと川沿いの林道から東尾根へ上がる踏み跡があり、そこから雪の上をザクザクと尾根上へと上がって行きます。尾根に出ると、「鹿島槍・東尾根」はナイフリッジの両側がスッパリと切れ落ちている尾根になります。まだ真っ暗なので雪庇に注意しながらアイゼンを蹴り込んで一歩一歩確実に登って行ったのでした。

 

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「一の沢の頭」という少し広い峰を越えて行くところで、5:20頃に朝日が上がって来ました!! この日のご来光はとても赤い色合いで感動的でした! しばらく写真を撮ったりして休憩しました。

 

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これから目指す「鹿島槍ヶ岳(右)」がやっと見えて来ました。ピンク色に染まって素晴しい色合いになっていました!!

 

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そして「爺ヶ岳北面」も、ピンク色に染まって行ったのでした!! この「爺ヶ岳北壁」は、雪の付き具合がヒマラヤの山々ような「ひだ」の雪になっていて、スゴくカッコ良かったです!感動的でした。

 

一の沢の頭~第一岩壁~第二岩壁~鹿島槍山頂

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「ご来光」の後も、超急斜面の硬い雪にアイゼンを蹴り込む→ピッケルを差し込んで登る!、を繰り返して、淡々と登って行きます。日が上がると景色も自分が登っている斜面も見えるので、とても登り易くなります。 僕の左側に伸びる雪の尾根が、今まで登ってきた「東尾根」です・・・。。ここまででも、もうすでにかなり登ってきているのでした。

 

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この「鹿島槍・東尾根」ルート登攀には2つの核心部分があり、その最初の「第一岩峰」がこの画像の部分です。この真ん中の垂直の壁の雪のある部分を登って行くのです!! ここまでも一つ間違えてしまえうと、死の底まで滑落という雪の稜線の登攀が続いていて、かなりの緊張状態だったのですが、さらにこの岩と雪の壁を越えて行かなければならないのです・・・。

 

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しかし、こんなスゴい垂壁のセクションも、今までと同じようにアイゼンとピッケル&アイスアックスのダブルで、坦々とこなして登っていくのでした・・・。僕は登るのに少し時間がかかってしまいました。

 

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そして、その後に迫り来る「第二岩峰」がコチラの画像の所です!! 「第二岩峰」にはあまり雪は無く、ロッククライミングのような感じの岩壁でした。 しかし今は履いているのはいつものクライミングシューズではなく、スキーブーツにアイゼンなのです。これは、僕にとってはかなり緊張&難易度の高いクライミングになってのでした~。

 

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しかし、「鹿島槍ヶ岳」の頂上はもうスグそこまで迫っているのです!、ここで退散はありえません!!・・・。。山頂からのスキー滑走はもうスグなので、今まで練習してきたクライミングの僕の持てる技術を全て駆使して、やっとやっとで何とかこれを越えていったのでした・・・。

 

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2つの核心部分のクライミングをを越えて、北壁から来る「天狗尾根」と稜線が合流する
ポイントを越えて、山頂まであと少しのところまで来ました!!  僕のバックには「鹿島槍北壁」から流れ落ちている「カクネ里」と言う氷河のような雪の沢が見えます!、凄まじい高度感でした。

 

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そして、ついに!、スタートしてから7時間50分ほどで、「鹿島槍ヶ岳北峰、2842m」に登頂出来ました~!! 山頂では超快晴の青空にほぼ無風で、最高のコンディションと最高の山岳景色が、僕達の手の中になったのでした!!

 

鹿島槍山頂からの景色

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コチラは「剱岳」(西側の景色)です。
この角度から見る「剱岳」の格好が、僕個人的には素晴しくカッコイイと思うのです。長次郎沢や三の窓も見えていました。

 

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コチラは北峰から見る「鹿島槍ヶ岳・南峰(右)」(南向きの景色)です。
左の一番奥側には、槍ヶ岳~穂高連峰も見えていました。写真だと小さ過ぎて、ちょっと分かりませんか?・・・。

 

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コチラは、北峰山頂から覗く、北壁から落ちる「カクネ里」という雪の沢です。スッパリと切れ落ちているこの「鹿島槍ヶ岳・北壁」は、クライミングをする人にとっては素晴しい大岩壁のようです。思わず足がすくみますね。

 

鹿島槍山頂からスキー滑降

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そして!、夢の瞬間が訪れました!! スキー滑降の用意をして、ブーツのバックルを締めて、ヘルメットをゴーグルをして、北峰と南峰のコルからドロップ・インしました!! 約50°ほどの斜面が、快楽と緊張と不安を一瞬に凝縮してくれるのです!!

 

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稜線から少しの間は硬いアイスバーン状の斜面でしたが、少し下ると雪は少し緩んできていたので、そこからはドライブの効いたターンで滑走出来たので、素晴しいスキー滑走が楽しめたのでした~!!

 

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それから、岩壁の間の細い沢滑って下りて行きます。バックには、さっきまで居た南峰の山頂が圧倒的な迫力をまとい、威圧的に輝いていました。 ここを滑走中は、サイドからガラガラと落石が落ちてきたり、自分の落とすスラフ(雪崩)が流れて来るのをコントロールしたり、デブリのコブコブを回避したりと、かなり忙しくも難しいスキー滑走だったのでした・・・。

 

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そして、この沢の下部では非常に滑らかな斜面があり、スキーも良く走ったので、素晴しく快感なスキー滑走が楽しめました。標高差2100mもあるので、とにかく滑っても滑ってもまだ辿り着かない!という感じで長いスキー滑降でした。

 

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この本流に合流する岩壁の間を抜ければ、やっと安全地帯に到着です。この時はもうすでに「鹿島槍東尾根BCスキー」をワンデイで達成できた達成感と安心感が、僕の中にフツフツと湧いて来ていたのでした!! 最後はこの画像の緩斜面を緩~く滑って帰って行ったのでした。 最後まで雪がストップ雪に腐らずにいてくれて、スキー板が良く走ったので助かりました。

 

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最後は、いくつかの堰堤を越えて行き、林道を歩いて帰っていきました。

ヤリました!!、今回のアルパインクライミングとバックカントリースキーの融合で挑戦した「鹿島槍ヶ岳東尾根」でのツアーは、快心の大成功だったのでした~!! 帰って来たのはまだ午前中の11:00ジャスト! 全行程で9時間40分でした。

一気に標高2100m以上を滑ってきて、振り返ればさっき
まで居た鹿島槍ヶ岳の山頂は、また遥か彼方の上の方に
過ぎ去って青空の中に光り輝いていたのでした!・・・。
改めて今回またスキーの機動性に感心し、夢の時間の儚さを
感じて、素晴しい達成感に包まれていたのでした~。
人生、あと何回こんな想いに浸れるのか?!、そんな事を
考えながら、また夢の先へと進んで行くのだろうと思います。

 

*今回の「鹿島槍・東尾根」は、冬山登山と山スキーのエキスパートの方のみが出来るルートです。行動時間も雪のナイフリッジの尾根で8時間近くと非常に厳しいですし、厳冬期の冬山登山の技術も必要です。もし、どうしても「鹿島槍・東尾根」コースの雪山登山に行きたいと思われる方は、必ず山岳ガイドさんと一緒に行く事をオススメします。よろしくお願いします。

【登山者・記者:ハタゴニアン】