風吹岳・風吹大池 土沢コース

レベル:
山行日: 2013.09.30
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風吹岳・風吹大池 土沢コース

風吹岳(かざふきだけ)は北安曇郡小谷(おたり)村にある標高1888mの山。この山のすぐ下には風吹大池(標高1778m)があります。風吹岳よりも風吹大池を目的に訪れる人のほうが圧倒的に多いようです。風吹岳への登山道が描かれていない地図もありますが、登ることができるので、ここではあえて風吹岳も紹介します。正直に言えば、風吹岳には登らずに池を周遊するだけで良いと思います。理由は後ほど。
今回紹介する土沢(つちざわ:北小谷)コースは、ブナ林を歩き急登のない比較的楽なコースです。他に、北野コース(初めと終わりに急登があるようです)、栂池コース、蓮華温泉コースがあります。

アクセス

車で松本から登山口駐車場まで2時間15分くらいかかります。
まずは小谷村の道の駅「小谷」を目安に松本から北に向かいます。道の駅まで行ったらここでトイレを済ませておくと良いでしょう。この先トイレはありません。
道の駅の駐車場からすぐに左折して来馬温泉「風吹荘」方面に行きます。
風吹荘を通り過ぎてしばらくすると道が細くなりますが(コンクリートのような舗装になります)そのまま道なりに進みます。かなり上まで上っていくと登山道案内看板のあるT字路があります。ここを右折。林道土沢線に入ります。ここからは舗装がされていません。通行不可のこともあるようなので事前に確認してください。(小谷村役場TEL0261-82-2001) わだちが深くえぐれている所が何箇所もありました。車体の高い車のほうが適していると思います。落石注意の看板もあり、運転には非常に気を遣いました。ゆっくり慎重に運転していたので駐車場に着くころには精神的にヨレヨレになっていました。駐車場は10台ほど停められる広さです。
帰り道に舗装してない場所で対向車が来たときには非常に緊張しました。地元の方だったらしく軽トラックでブンブン平気そうに上って来てました。

土沢登山口~水場 55分

標高約1090mからスタート。登山口の道は広いのですが、すぐに細いやせ尾根になります。
土沢登山口やせ尾根 トラロープあり
トラロープが張られていますが、つかむためではなく注意を促すために張られていると思います。やせ尾根の両側は草木が生えているために傾斜の具合が見えず恐怖感はあまりありません。かえって気が緩んでしまいそうなので気を引き締めて慎重に歩いたほうが良いでしょう。
白い川底
やせ尾根の右側に沢があり、川底が白くなっている場所では硫黄の臭いがしてきます。昭文社の山と高原地図「白馬岳」には温泉マークと「冷鉱泉」「クセエ沢」と書かれています。確かに臭いです。
11分割案内板
登山口から風吹山荘までを11分割した表示板が出てきます。長い登山道ではありませんが、この表示板が歩の目安になり気持ちをサポートしてくれました。不安を感じないので非常に心強いです。雨飾山の登山道にもこのような案内板があります。小谷村の心遣いなのでしょうか?
やせ尾根の後は粘土質の登山道になります。水分を含んでいるので前を歩いた人が滑った跡などがありました。しかしこの滑りやすい区間はすぐに通り抜けられます。
整列ブナ
ブナ林の気持ちの良い登山道を登って行きます。ブナが整列したように並んでいる所もありました。この日は9月の終わりでこれからブナの黄葉が始まる感じでした。
もごもご横から見ると
木に飲み込まれた表示板。

水場~風吹山荘 55分

水場水場は表示板の「11分の6」と「11分の7」の間にあります。地図上につけたポイントは正確ではありません。この辺かな~と便宜的につけました。
冷たくておいしい水です。
「11分の9」を過ぎた辺りから美しい紅葉が見えてきました。
気持ちの良い登山道少し遠くの紅葉
高妻山かな木の間からは山も見えます。高妻山でしょうか?
風吹山荘が見えた
北野コースと合流。そこから3分ほどで「11分の11」。


風吹山荘~風吹岳~血ノ池・神ノ田圃~風吹大池周遊 約2時間5分

この先は周遊するのにいろんなパターンを選べます。
寄り道をしないで池を周遊するだけなら約1時間20分。
プラス 風吹岳に登るなら往復32分(登り18分、下り14分)
プラス 血ノ池・神ノ田圃に行くなら往復16分
細かくコースタイムを書くと・・・(ゆっくり目タイムです)
風吹山荘~風吹岳分岐 15分
風吹岳分岐~血ノ池・神ノ田圃分岐 19分
血ノ池・神ノ田圃分岐~科鉢池 21分
科鉢池~天狗原分岐 11分
天狗原分岐~風吹山荘 13分
風吹山荘風吹山荘の別棟にトイレがあります。有料で使えます。
注意書きがありました。「登山道でストックご利用の際は先端にゴムキャップを装着するようお願いします。小谷村」
木道を歩きます。
池が見えてきました。
いい感じです。
木道を歩く右に曲がる
水のある場所は紅葉が美しいですね。
池に近付く池の北西を見る
風吹岳への案内が出てきます。 登山道は整備されています。
風吹岳分岐風吹岳への登山道
山頂には東屋がありました。
見晴らしは、木が茂っているので良くありません。東側だけ眺望が開けています。左に妙高山、中央に高妻山だと思います。見えた山はこれだけです。ちょっとがっかりでした。
山頂の東屋東の眺望
正面にベージュ色のものが帰りの下りで正面にチラチラとベージュのものが見えました。
この時にはまだどこが見えているのか良くわかっていませんでした。
この眺めは良かった横前倉山を見るとこれからもっと美しい紅葉が見られそうな感じでした。
山頂まで行かなくても、この辺まで登ってきて見るだけでもいいかな~と思いました。
小敷池再び分岐まで戻り、池の周りを歩きます。
←これは小敷池。
美しい小さな池です。
血ノ池・神ノ田圃分岐この先に血ノ池
血ノ池・神ノ田圃への分岐。       ↑この先に血ノ池があります。
美しい眺め美しい眺めです。
水の色が赤茶色なので血ノ池というようなのですが、不気味な名称なので違う名前にしてもらいたいくらいです。
水の色紅葉と浮島
さらに先に進むと神ノ田圃に着きます。池塘(ちとう)のある草原の中の木道を歩きます。
この時、霧がさ~っと入り込んできて神秘的になり、霧がどんどん濃くなってきたので怖いくらいでした。
木道を歩きます神の田んぼ棚田のよう霧が濃くなってきた
血ノ池に戻ってくると霧はありませんでした。人間が無闇に神ノ田圃に入り込まないように霧が出てきたのでしょうか?
分岐からしばらく進むと傾斜がきつくなり、ぐんぐん登って行きます。
傾斜手前くらいのぼり坂だんだん下になる風吹大池美しく紅葉している池のほとり小さく見える風吹山荘
科鉢池は登山道の右側にあり、小敷池の時よりも上から見下ろす感じです。
案内表示科鉢池
風吹岳の下り道で見えたベージュ色の場所がどこなのかわかりました。
風吹天狗原でした。
木道のある湿地帯で池塘がいくつかあります。
稲が植えられたかのような小さな池塘も神の田圃だな~と思いました。
風吹天狗原大き目の池塘稲が植えられているみたい天狗原分岐
風吹天狗原の分岐から少し下り始めた右側の草原も素晴らしかったです。
まるで隠されていた宝物を見つけてしまったような気分になりました。
うれしいけれど、人に伝えていいものかどうか・・・
見つけてしまった宝物秘境

風吹山荘~水場 40分

下り道は来た道を戻るだけです。

水場~土沢登山口 55分

リンゴドクガ初めて見た毛虫。
全体を覆う美しい黄色の毛と尻尾らしき赤い毛が絶妙なバランスです。
リンゴドクガという虫らしいです。
きれいだな~かわいいな~と思ったのですが、「ドクガ」という響きが恐ろしい感じです。


お薦めの温泉

道の駅小谷には温泉もあります。
大人通常600円ですが、食事とセットだと入浴料金が半額の300円になります。500円以上の食事の場合です。
温泉は内湯と露天風呂があり、シャンプーやボディーソープも完備。
こちらの温泉も筋肉痛に効果があります。
道の駅小谷
北安曇郡小谷村小谷1861-1 地図
営業時間(温泉)10:00~21:00(受付は20:30まで)

感想

alps_chiemi.gif風吹大池に行ったことのある人全てが「いいところだよ」と言っていました。ガイドブックには「秘境」と書かれています。
行ってみてその通りだと思いました。
みんなが内緒にしているためなのか紅葉が始まった頃だというのに登山者がいませんでした。池を一周しても誰にも会わなかったのです。
内緒にしておきたい気持ちもありますが、こんなに素晴らしいのに知られていないなんてもったいないとも思いました。
先にも書きましたが、『まるで隠されていた宝物を見つけてしまったような気分になりました。うれしいけれど、人に伝えていいものかどうか・・・』   この素晴らしい環境が保たれることを願いながら紹介しました。
(林道の運転も考慮すると)栂池から時間をかけて風吹大池に行ったほうがいいかもしれません。風吹山荘(予約したほうがいいです)に宿泊し、ゆっくり過ごすのがいいでしょう。
【登山者・記者:アルプスちえみ 】