天狗のコル~ジャンダルム~奥穂高岳
奥穂高岳に登った事がある人なら、山頂の南稜線にドォォ~~ンと聳える、あの圧倒的な威圧感と丸いドームのように切り立った岩稜の山容に、憧れを抱かずにはいられないと思います!・・・。 そう!、今回の僕の目的は、この「ジャンダルム」という岩山です!! (*今回のルートは、登山の熟練者であるエキスパートのみに許される最上級ルートですが、ご紹介したいと思います。)
今回ジャンダルムに登るための僕の行程(ルート)は、「上高地から岳沢登山道を登り、~岳沢小屋から天狗の沢のヴァリエーションルートを登り~天狗のコル、~その稜線を登りジャンダルム!、~ロバの耳&馬の背と言われている岩場を越えて、~奥穂高岳山頂へと登るルート」です。(穂高岳山荘に泊って、翌日に吊尾根~重太郎新道~岳沢へ下山の1泊2日です。)
松本からのアクセス方法
松本市内から~上高地~岳沢小屋までのアクセスは、このトコトコトザンの「岳沢」のページを参照下さい。→「岳沢」
ここからは、この岳沢小屋から先のルートをご紹介して行きたいと思います・・・。
この「岳沢小屋」は、2010年に新しく再建されたとても綺麗な山小屋です。こちらの事も詳しくは以前のトコトコトザンの「岳沢小屋」のページに詳しく書いてあります。→「岳沢小屋」
1日目、僕は朝6時に乗鞍高原を出発。上高地着で7時過ぎから岳沢への登山道を登って行きます! そして、この「岳沢小屋」に到着したのは9時過ぎ・・・。この先には水場が全く無いのでお水を補給させて頂き、いよいよヴァリエーションルートの「天狗沢」へ登って行きました。
岳沢小屋~天狗のコル
「岳沢小屋」から「天狗沢」へは、小屋の左手裏にあるこの登山道入口の看板から登って行きます・・・。この登山道から先は、登山の熟練者であるエキスパートのみに許される上級のヴァリエーションルートになります。
この「天狗沢」から先は上級者のみのルートと書きましたが、途中の「お花畑」までは登山道もかなり綺麗に整備されていて、夏のシーズンには高山植物の花々が咲いて、とても美しい場所になります。この「天狗沢のお花畑」までなら、通常の登山者でも大丈夫です! 花のシーズンには一度は来る価値があると思います。
しかし、お花畑より上の「天狗沢」の上部は、岩がガレている超急斜面のため上級者オンリーのルートになります!! この辺りは「滑落」や「落石」での遭難がよく起こる、危険なルートのようです・・・。
(登山道は画像の真ん中に尖ってる2つの尖峰の下の雪渓から右奥へ向かって登って行きます。)
「天狗沢」を登り切ったところが、「天狗のコル」となります。ここから左の登山道を登ると西穂高岳へ。右の登山道を行くと奥穂高岳になります。今回の僕はジャンダルムが目的なので、右の奥穂高岳方面へと登って行きました。
そして、「天狗のコル」には、昔の避難小屋跡が残っていました・・・。もうどれぐらい昔からあり、使われていないのか分かりませんが、石を積み上げて四方を囲った跡が残っているだけでした・・・。
天狗のコル~ジャンダルム
ここからは、「畳岩」と呼ばれる岩場を、岩の上にペンキでマーキングされた「〇」印を追って登って行きます。この「畳岩」のセクションは、とても長くて「コブの頭」と言われる峰が見えているのに、中々近づかないという感じで、延々と同じように岩場を登って行くのがしんどかったです。
稜線の岩場の登山道ではありますが、ルートの目印であるペンキの「〇」印は、比較的ちゃんと付けられていて、分かり易かったと思います。
そして「畳岩」セクションを登り切って少し進むと・・・、やっと今回の目的の一つである「ジャンダルム」が姿を現しました~!! 左がそのジャンダルム、右の少し尖ったのが奥穂高岳の山頂です。ジャンダルムは南側からみるとこんな感じに見えるのです・・・。奥穂高岳から見えるジャンダルムのあのドーム型の岩稜の容姿は、登山者を寄せ付けないような迫力があるのですが、反対側から見るとかなり形が違って見えるのも面白いと思いました。
(ジャンダルムの頂に他の登山者が2人見えますね・・・)
「ジャンダルム」には、南側(西穂高側)から登ることが出来るのです。ちゃんとルートを示す印も付いていて、ここまでの岩場に比べたら比較的簡単に登頂出来ます。この「ジャン」というサインを左側に巻いて登って行くのです。
そして「ジャンダルム」(3163m)に登頂成功です~!! ジャンダルムの山頂には、こんな「ジャンダルム」の木の看板と、なぜか針金で造られた「天使」(?)のような飾りがありました・・・。
その「天使の飾り」の向こうに見えるのが、これから行く「奥穂高岳」の山頂になります! ジャンダルムまで来れば、後はもう少しだと思っていましたが、まだまだ遠いように見えますね~・・・。
ジャンダルム~奥穂高岳山頂
この「天狗のコル~奥穂高岳」の稜線の登山道は、登山地図で見ると「ジャンダルム」でおよそ半分ぐらいのようです・・・。
この画像の左上が奥穂高岳の山頂です。ジャンダルムを過ぎても、まだ、真ん中から右下に広がっている岩場「ロバの耳」と「馬の背」という難所があるのです・・・。この岩稜を一気に下って、再び登りになるのです。
さっきまで山頂に居た「ジャンダルム」を振りかえって見ると、やはりあのドーム状の圧倒的な威圧感を纏った岩稜でした!! やはり北側から見る形がカッコ良くて「ジャンダルム」らしいですね!
続いて、とりかかるのは「ロバの耳」という岩場の難所です。ここに来るまでに、一度一気に下ってから登らないといけないので、そこまでの下りも、鎖なども無くてかなり厳しい岩場でした。ここから上は一部鎖があるので、一気に越えることが出来ました。
そして、最後の最後に来るのは、このヴァリエーションルートの最大の難所である「馬の背」というナイフリッジ状の岩場です!! ここは本当に文字通り”ナイフリッジ”で、両側が遥か下方まで切れ落ちていて、その尖った稜線の僅かな岩の窪みに手や足を掛けて登って行くルートになっていました!!
この「馬の背」の登りは約10~15m程なのですが、あまりにもスッパリと切れ落ちている細くて急な岩場だったので、さすがに僕もゾクゾクしてしまいました!!・・・・。このルートを逆方向に下りで通過することはしたくないな~と思う程でした・・・。
「馬の背」を越えることができたら!、もう奥穂高岳の山頂に着いたも同然となります。あとは浮き石に注意して「〇」印を辿って、難ルートをここまで登って来た事を噛みしめながら、この稜線を感慨深く歩いて行きましょう!!・・・。
そして、ついに!奥穂高岳(3190m)の山頂に登頂しました~!!
この岩場の難所が連続するヴァリエーションルートを登っての奥穂高岳登頂は、また一味違った気分で格別でした!! そして天気も良く槍ヶ岳や遠くには乗鞍岳までも綺麗に見えて、最高の気分でした~!!
今回の「天狗のコル~ジャンダルム~奥穂高岳」のヴァリエーションルート踏破は、僕は最軽量の装備で行きましたので、この間の所要時間は1時間半程でした。通常だと3~4時間程はかかると思います!(行かれる方は、時間にご注意下さい) 一般の登山のお客様は、時間の余裕を見て穂高岳山荘で一泊とか、岳沢小屋に前泊される行程をお薦めします。 そして、この「天狗のコル~奥穂高岳」間のヴァリエーションルートの魅力は、何と言っても「ジャンダルム登頂」と「岩場登攀の連続」でしょう!! 岩登りが好きな熟練登山者にとっては、スリル満点のコースです。岳人なら一度は行ってみたい憧れのルートなのです。
【登山者・記事 ハタゴニアン】