上高地~南岳小屋~大キレット~北穂高岳 縦走
やっと今年の梅雨が明けて、北アルプスにも夏山のシーズンがやってきました!
松本市内から北アルプルが美しく見える空を見上げると、呼ばれているような
気になってしまい、ついつい行ってしまったのでした~。
今回は、北アルプス縦走の難所である「大キレット通過」をしに行ってみました。
1日目、上高地~南岳小屋(9時間)
今回の目的地は「大キレット」なので、1日目はそのルートの北の拠点である「南岳小屋」を目指して行きます・・・。なので、上高地からは~明神~徳沢~横尾~槍沢へと進んで行きます。
この日の天気予報は「晴れ」の予報だったのですが、なぜか上高地についた時から霧雨のような細かい雨が降っていたのでした・・・。でも、そんなに濡れないので、1日目は小屋まで行くだけだからと思い、先へ進んで行ったのでした・・・。
横尾から先は、この「槍沢」の川のスグ横を登って行きます。ここまででも、もうすでに雨がパラパラと小雨ぐらいでも降っていて、見上げる山々は真っ白な雲の中・・・。もうこの時点でかなりの不安がよぎっていたのでした・・・。 槍沢の水の流れが、とても青くて綺麗でした~!!
それでも、雨は降ったり止んだりなので、とりあえず行ける所まで行って見よう!と言う感じで、どんどん先へ進んで行ったのでした・・・。 この「大曲り」では、山が幻想的な霧を纏っていてとても綺麗でした~。
「大曲り」の先では、まだまだ雪渓が残っていたので、雪の上を歩く事に
なりました。 滑って滑落しないように、一歩一歩慎重に足を進めて歩いて行きました。
5時間程掛かって、ようやく「天狗原」への分岐点に到着です! この時から、雨がザーザーと本降りになってきてしまいました!・・・。この先へと突っ込むかどうか?!・・・、非常に悩んだのですが、自分たちのコンディションは良かったので、明日の晴れを期待して、先へ進んでしまいました。
バックの雪の斜面は「天狗池」です・・・。池はこの時期は、まだまだ雪に埋まっていました。 でも、どちらにしても今日の雨の天気では槍ヶ岳が映った天狗池は見えませんね~。
ここから、雨がいきなり横殴りな程に激しくなってきて、僕達のウェアが、もうズブ濡れになってきていました!・・・。これはヤバイです!!山で身体が濡れてしまうと→身体が冷える!→低体温症になる!→低体温症は凍傷と同じなので、動けなくなり→遭難!になるのです!なので急いで、そしてかなり頑張って、残りの横尾尾根の急登攀をこなして行きました。
足にはもちろん「アイゼン」という鉄のツメを装着します。アイゼンは冬山装備ですが、この北アルプスのまだ雪渓が残っている場所では必須のアイテムです。
そして、ズブ濡れになりながらも急いで行動して、最後の横尾尾根の岩場の急登を頑張って登りました・・・。晴れていれば、ここからは槍ヶ岳が大きく見えながら歩けるのですが、今回は雨雲の中に居るので全くのホワイトアウトで、景色は何も見えませんでした。
そして、下着や靴の中までズブ濡れになりながらも、ちゃんと3:00過ぎには「南岳小屋」に辿り着けたのでした~。何とか助かりました・・・。
全ての荷物&ウェアをスグに乾燥室に突っ込んで、ストーブで身体を温めました。今回は本当にヤバかったです。横尾尾根から稜線に出ると、岐阜県側から立って居られない程の強風&豪雨が降って来て、南岳山頂でも写真など撮っていられない程で、出来るだけ速くに小屋へと逃げ込んだのでした・・・・。
そして、南岳小屋にて、暖かい夕食を頂いたのでした・・・。 暖かい部屋で暖かい夕食!、、死にそうな目に会ってきた僕達には、ジ~ンと心に響く夕食でした・・・。 今回の1日目は、これまでに無い程に、ちょっと危険なレベルまで突っ込んでしまったので反省でした。もう少し、装備を含めた安全な計画をしないとイケないと思いました。
夜は強風で南岳小屋の窓や屋根がビュービュー!、ガタガタガタ~~!と鳴る、悪天候だったのですが、疲れていたので布団に入ってスグ寝てしまいました。
2日目、南岳小屋~大キレット~北穂高岳~涸沢~上高地(12時間!)
そして次の日、朝起きて見たら・・・・・、、、、
無情にも、相変わらずの真っ白なホワイトアウト状態でした!!・・・。 そして風もけっこう強くて、昨日と変わらずビュービューと音を立てていたのでした。
2日目の朝ご飯を食べながら小屋の中のテレビとネットの天気予報を見て、これからどうするか?!と作戦会議をしたのですが、この南岳から帰るのはどの道を通っても過酷なのです。 なので、雨雲レーダーの映像を見ながら今日は晴れると思っていたので、朝だけは白くてホワイトアウトでも少しずつ回復に向かうという事を祈って、霧の中、大キレット通過を決行したのでした!・・・。
南岳小屋をスタートしてスグに、「大キレット」が始まりました! スタートした朝6時はまだ風が強くて岩も濡れていて、最初は急な下りなので一歩一歩慎重に進んで行きました。 岩が濡れているのはしょうがないのですが、風が強いのが
行く手を阻む最大の敵です・・・。
何も見えないホワイトアウトの霧の中を1時間程進んで行った時、雲が流れて、いきなり目の前に「北穂高岳」が現れたのです!!
キタァ==!!
風が強いので雲が流れて行って、本当に急にドオオォォ~~ん!と景色が見えてビックリしたぐらいでした!! 右側に見える「滝谷・中央ドーム」の辺りまで見えて、「北穂高岳」の全容は素晴しい程の岩稜で!、感動的なぐらいでした!!
そこからは、素晴し過ぎる山岳景色のオンパレードでした!! そして、切り立って聳える大キレットの高度感が最高でした。バックには、今まで歩いて来た大キレットルートの稜線が見えて、あんなルートを歩いていたんだ~!と、思わず感動せずにはいられなかったのでした。
そして!、「長谷川ピーク」と呼ばれる難所のド真ん中に!、こんな歩道?というか、「テラス」があったのでした! ここで足を出して座り、ちょっと休憩しました。バックには笠ヶ岳も見えて正面には北穂高岳の岩峰の圧倒的な威圧感があり、素晴しいテラスなのでした。
バックに見える「長谷川ピーク」と呼ばれる岩稜を越えて来ました。この辺りは、両側がスッパリと切れ落ちている高度感満点の岩の稜線をドンドン歩いて行くのが、とても楽しかったです。
その後に待ち構えているのは「飛騨泣き」と言う岩場の難所です。90°の岩壁のクサリ場も越えて行く箇所も何か所かありました。
この「飛騨泣き」でも、ボルトや鎖や鉄板の足場などもちゃんと整備されていて、比較的歩き易いと思いました・・・。(とは言ってもかなりの上級岩場コースです) ここで一瞬雲に巻かれて、再びホワイトアウトです・・・。
「飛騨泣き」の岩場を越えると、最後は岩がザレた九十九折りの急登があります。ここまで来ても最後のこの急登で体力を奪われるような感じでけっこうシンドかったのでした。
そして、最後のザレた長い九十九折りを息を切らせながら30分以上も登って行いくと・・・・、やっと北穂高小屋が見えて来ました~。いよいよ「大キレット」通過も終わってしまいます。
そして、ついに!、北穂高小屋に到着です。 「大キレット」通過が完了
となり、ついに「大キレットを通ってみたい」と思っていた夢がこの瞬間に叶ったのでした!
この夢が叶ってしまう瞬間と言うのは、とても微妙な気分なのです。
長い間かかって成し遂げた「夢」は、叶う直前は「このままでいて
欲しい・・・」、とか、「もう少しだけこの瞬間が伸びて欲しい!・・・」
とか思ってしまうのです。 本当に夢は儚いものなのですね・・・。
北穂小屋でゆっくり休憩を取り、コーヒーやチョコレートなどでカロリー補給をした後は、北穂高岳の山頂に登頂しました。しかし、なぜか、またこの時だけ北穂高岳の山頂だけが雲に覆われて槍ヶ岳や、今まで通ってきた大キレットルートが山頂から見えなかったのでした。(あぁ~~、ちょっと残念~~。)
でも、2日目の行程はまだ3割程で、僕達はこの日中に上高地まで歩いて帰らなければいけないので、北穂高岳山頂はスグに通過して、先を急ぎました。
その後、北穂高岳~涸沢に下る道で、ようやく素晴しい青空の快晴が広がりました~!! 前穂高岳(左)~吊尾根~奥穂高岳(右)の景色も素晴しい程美しく見えました!!
この北穂高岳~涸沢の間の下りは、コースタイムが1時間40分と登山地図にはありますが、この間のルートは僕達が疲れていたのもあるのですが意外と岩場もありとても急坂で、僕達は2時間程もかかりました。 やっと見えて来た「涸沢ヒュッテ」の屋根が、やっと辿り着いた事で「ほっ」と思わせてくれました。
そしてちょうどお昼前ぐらいに、「涸沢ヒュッテ」さんに到着しました。ここで予定通り大休止してお昼ご飯を頂きました~。この「涸沢ヒュッテ」さんの売店は美味しいモノがたくさんあります! 僕がいつも頂くのは「おでん」です。この景色を眺めながらのお昼ご飯は最高に美味しかったです。
お昼ご飯をゆっくり頂いた後は、また涸沢から~横尾へ下って行きます。画像はその間にある吊り橋の「本谷橋」です。ここまで来ると、今日は帰り着けそうだ!と思ってしまうのでした・・・。 そしてまた、1日目に通ってきた横尾~徳沢~明神~上高地と梓川の河川敷の遊歩道を延々と歩いて帰ったのでした~。
そして、夕方5:30頃に、上高地に到着出来たのでした~!! 1泊2日強行軍ツアーで行った「大キレット」が達成出来たのでした。(夕方6時の最終バスに間に合ったのでした)
今回は、1日目は凄まじい悪天候でもうダメかと思ったのですが、2日目に思いっきり晴れて来て、終わってみれば素晴しい登山となりました。それでも1日目はかなり荒れた悪天候でちょっと危険なゾーンだったと思います。本当に登山は天気次第なのですが、ちゃんとした登山計画と装備、そしてその装備を使える経験と技術が大切なのだと痛感させられた今回の登山でした。この記事を見て、この「大キレット」や北アルプスに登山に行かれる方は十分な装備と自分の体力で余裕ある計画で行って下さい。
【2014年7月24~25日実施 登山者・記者:ハタゴニアン】