五竜岳 《厳冬期》
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今回は、厳冬期の1月に「五竜岳」日帰り登山に挑戦してきましたので、
その五竜岳から見る素晴らしく美しい厳冬期の景色を少しでも楽しんで
頂ければと思います。
アクセス
五竜岳登山へのアクセスは、白馬五竜スキー場から入山します。
アクセスについては「五竜・遠見尾根トレッキング」を見てください。
白馬五竜スキー場~小遠見(2007m)~中遠見でのご来光!
![DSCF8834[1]](/wp-content/uploads/2016/02/DSCF88341.jpg)
今回の僕達は日帰り登山で五竜岳を目指しましたので、夜中の2:40にゲレンデの
駐車場をスタートしました。通常の1~2泊の登山なら、白馬五竜スキー場のリフト
とゴンドラを使ってゲレンデの最上部まで上がって、そこから登山がスタートです。
そこから五竜岳の稜線へと続く「遠見尾根」を伝って進んでいきます・・・。
僕達が登った日は、とても蒼く明るい月夜だったので、ヘッドライトが要らない
ぐらいに明るかったです。 小遠見の峰までは、上記の「アクセス」のところの
リンク「五竜・遠見尾根トレッキング」のページをご参考にして下さい。
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小遠見を過ぎて、バックに見える中遠見の峰を越えた辺りで、一気に明るくなって
きて、景色全体がピンク色~ムラサキ色に染まってきました。ご来光が近いのです。
![DSCF8881[1]](/wp-content/uploads/2016/02/DSCF88811.jpg)
そして、約6:50頃、東の山が、まるで何かが大爆発しているような感じに
燃えるような濃くて赤い色になっていき、
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ついに!「ご来光」が上がってきたのでした!! この日のご来光はとても
赤くて、僕がこれまでの中でも一番なぐらいに感動的でした!!
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ご来光が上がった瞬間、自分達の居る世界全てがピンク色に染まりました!
今回のご来光は、東の空に薄~い雲が掛かっていて、それが朝日の深紅の色に
染まっていて、いつものご来光よりも景色全体がかなり赤く染まったのだと
思います。すごく幻想的で感動的でした!!
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隣の「鹿島槍ヶ岳」の北壁も、素晴らしい色合いに赤く染まっています!
![DSCF8897[1]](/wp-content/uploads/2016/02/DSCF88971.jpg)
これから向かう「五竜岳」です! こちらも本当にピンク色一色に染まりました!
このご来光で僕達のモチベーションは最高潮! これまで僕達は厳冬期の五竜岳は
何回か敗退していたので、今回は登れる!とみんなで思っていたのでした。
大中遠見~五竜山荘
![DSCF8940[1]](/wp-content/uploads/2016/02/DSCF89401.jpg)
この「遠見尾根」は、小遠見~中遠見~大遠見~西遠見と、アップダウンを繰り返し
ながら、とても長く続きます・・・。大遠見を過ぎた辺りは比較的尾根が広くなって
おり、この辺りで1~2泊する厳冬期の登山者の方はテントを張ることが出来ます。
僕達はスキーの機動力を使って、どんどんと先へ進んでいきました。 バックには
鹿島槍ヶ岳が輝いていました!
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バックに見える西遠見の峰を超えて、いよいよ稜線に上がるシラタケ沢のボウル状の
斜面を登っていきます。この斜面は雪が溜まっていて深くてラッセルを強いられました。
でも僕達は山スキーヤーなので、「ここの大斜面を滑って帰れる」と言う滑走意欲を
たぎらせていました・・・。
![DSCF8953[1]](/wp-content/uploads/2016/02/DSCF89531.jpg)
やっと、五竜岳に繋がっている白馬連峰の稜線が近づいてきました。この最後の斜面の
雪がとても深くて、ラッセルがかなり苦しかったのですが、頑張って登りました・・・。
しかし、ここから一気に怪しい雲が湧いてきて、この画像の時までは快晴だったのに、
この後稜線は一気に真っ白な雲の中に包まれてしまったのでした・・・。
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稜線の「五竜山荘」に到着したときには、雲が湧いてきて辺り一面真っ白になって
しまったのでした・・・。 ここまで来て真っ白な雲に巻かれてしまったので、この先
五竜岳山頂からのスキー滑降は危険だと思って諦め、スキー道具一式を「五竜山荘」に
デポ(置いておく)して、アイゼンとピッケルに装備を変えて、五竜岳山頂を目指して
登っていったのでした。(駐車場からここまでで6時間半ほどでした)
五竜山荘~五竜岳山頂(2814m)
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五竜山荘から先は、アイゼンにピッケルの世界です。確実にアイゼンを蹴り込んで
一歩進んではピッケルを差し込むという作業を繰り返しながら進んでいきます・・・。
登っている最中は全体的には真っ白でしたが、かなり強風で雲の流れがとても速くて、
時々晴れて一気に山が姿を現します! その瞬間にシャッターを切って画像を撮って
いったのでした。
![DSCF8977[1]](/wp-content/uploads/2016/02/DSCF89771.jpg)
辿れるところは夏道をたどりながら進みます。夏の登山のときに使うクサリが、雪に
埋もれずにありました。滑ったら確実に死にますので、細心の注意をしながら登って
いきました。
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そして、「武田菱」の部分の岩峰を越えると、ついに!「五竜岳」の山頂が、白い雲の
流れの一瞬の切れ目の狭間に、見えてきました! ここまで来れば、もう後少しです!
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最後の一番急な雪壁を登り切って、ついに「五竜岳」山頂への稜線に到着です!!
僕たちはこの時点でやっと登頂を確信したのでした。やっとここまで登ってこれた
のです!
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そして、深夜2:40にスタートしてから、ジャストの8時間かかって、10:40すぎに、
五竜岳(2814m)登頂です!! ヤリました~!!
久しぶりのビッグツアー、ワンデイでのBCスキーで「五竜岳」登頂が出来て、
叫びたい程の喜びが身体中を駆け抜けたのでした!!
五竜岳山頂からの眺望です。
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まず最初は、五竜岳から山頂を越えて向こう側の南西方面へ向いた全景です。
右側は剱岳、左は薬師岳です。 山頂に辿り着いたときに、目の前に広がった
この山岳景色に、僕は思わず叫んでしまう程感動したのでした!
![DSCF8998[1]](/wp-content/uploads/2016/02/DSCF89981.jpg)
「剱岳」のアップです!
本当に剱岳は、特別な荘厳な美しさがありますね!!・・・。
特にここから見える「八ッ峰」の連なりは美しすぎます!!
感動的ですらあり、思わず溜め息が出るほどでした!・・・。
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隣に見えた、あまりにもカッコ良く聳える双耳峰「鹿島槍ヶ岳」です。
五竜岳から見えているは、松本平から見える鹿島槍の裏側の斜面です。
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そして、鹿島槍ヶ岳の右肩の向こう側に一際尖って聳えているのは、我らが
松本市にある「槍ヶ岳~穂高連峰」なのです!! こ~んなに遠くからでも、
見えるのです。 どこから見ても槍ヶ岳の形はよく分かりますね。
五竜岳山頂からの下降。(帰り道)
![DSCF9012[1]](/wp-content/uploads/2016/02/DSCF90121.jpg)
五竜岳山頂からのスキー滑降は成りませんでしたので、山頂からはまた来た道を
五竜山荘までアイゼンとピッケルで下っていきました。こう言った岩場の下降は
登り時よりも下り時の方がかなり危険なのです。なので登りの時ももちろんですが
下りはさらに緊張しながら下っていきました・・・。
![DSCF9020[1]](/wp-content/uploads/2016/02/DSCF90201.jpg)
五竜山荘からは、シラタケ沢という広大なボウル状の斜面をスキー滑降で下って
いきました。この斜面は知る人ぞ知る、山スキーヤーの憧れの斜面です。これから
春になって雪が安定してくると、さらに下のほうまで滑って行くことが出来ます。
五竜岳には他にもAルンゼやBルンゼなどのエキストリームなスキー滑降ルートが
たくさんあります。 またいつか挑戦してみたいと思いました。
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そしてまた、登りの時にアップダインが長くて苦労した「遠見尾根」を、また下り
でも、延々長々とスキーにシールを付けて歩いて帰っていったのでした・・・。そして
この画像の小遠見に帰り着いたときには、あまりに疲れ過ぎててしまって、安堵と
疲労でブッ倒れてしまった程でした・・・。 この後、ようやくスキーシールを外して、
遠見尾根を斜滑降で下り、キレイに圧雪整備された白馬五竜スキー場のゲレンデを、
鬱憤を晴らすかのようにして高速ターンで滑って帰って行ったのでした!
帰り着いたのは、昼の1:50頃。 全工程で11時間10分でした。
より困難を求めようとする登山の在り方は、アルピニズムの本質。それを共感出来る、
そして信頼できる経験と技術と体力がある素晴らしき仲間と一緒に、「挑戦」である
バックカントリースキーに行けるという事は、何と素晴らしい事なのだろう!と、
いつも思うのです! そして、そんな仲間と、美しき大自然に感謝です!!
そして、一つの課題がクリア出来、また次なる課題へと挑戦していくのでした。
【注意!】今回の「厳冬期、五竜岳」は、冬山登攀のアルパインクライミング的なので、
冬山登山に慣れているクライミングギアが取り扱えるエキスパートの方のみが行くことが
出来るルートです。ピッケルとアイゼンを使いこなすスキルが必要ですし、冬山での行動や
マイナス10℃の中での体温管理もたいへんで非常に厳しいです・・・。もし、どうしてもこの
ルートに行きたいと思われる方は、必ず!冬山登山が出来る専門の山岳ガイドさんと一緒に
行って下さい。よろしくお願いします。
【登山者・記事 ハタゴニアン】