昔むかし大きな山が連なる麓の村にじっさまがおりました。
ある時深志のお殿様がお城からいなくなると聞いて驚いて、
とことこ1日かけて歩いてお城まで出かけて行きました。
「維新というのが起こって、戸田様が松本から出て行くそうだ。」
「武士たちももう武士ではなくなった。」
では、何になったのか?
自分たちも何かになってしまうのか?
激動の明治維新は、
村々の百姓たちには、何がどうなってしますのかサッパリわからん。
武士が屋敷を売りに出し、戸田様と一緒に江戸へ、いや東京へと出て行ったとか。
小金を持っている輩が、武士屋敷を買い取り新しい時代にあった商いを始めたとか、
いろんな噂が飛び交っていたそうだ。
(明治4年7月に、廃藩置県で松本藩は松本県となり、8月には城主・藩知事であった戸田氏は東京へ移っていきました。)