表銀座 燕岳〜喜作新道〜大天井〜東鎌尾根〜槍〜西鎌〜鏡平 縦走

所要時間:14時間(3泊4日)  レベル:
山行日: 2007.09.14
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標高:燕岳(2,763 m)大天井岳(2,922 m)槍ヶ岳(3,180 m)
表銀座 燕岳〜喜作新道〜大天井〜東鎌尾根〜槍〜西鎌〜鏡平 縦走

今回は、アルプス 表銀座〜裏銀座縦走コース を紹介します。

北アルプスの人気縦走コース『表銀座』の 中房温泉登山口〜燕岳〜喜作新道〜大天井岳〜東鎌尾根〜槍ヶ岳〜『裏銀座』へ西鎌尾根〜千丈沢乗越〜樅沢岳〜鏡平〜わさび平〜新穂高温泉登山口 3泊4日の山旅です。
初めての縦走は、一人旅でした

松本からのアクセス方法

登山口<マイカーの場合> 中房温泉登山口
松本市街地からR19に出て、北(長野方面に走る)へ向かって走る。
どの道からでもいいので、安曇野市のR147号線に出てから、北穂高駅を北上して(中房)まで1本道を西へ上がる。
穂高温泉郷付近からは、急なカーブが続く狭い道の連続に、ご注意。
安曇野市営駐車場(無料)を利用出来ます。悪天候を除いて、2日間を使用限度期間になります。
<公共交通の場合>
JR穂高駅から乗合バスが毎日中房渓谷登山口まで運行しています。・・・料金1人片道1610円
今シーズン、中房線乗合バスは4月29日(金)〜11月13日(日)まで毎日運行されます。安曇野市営しゃくなげ荘の登山用無料駐車場に車を置き、近くの乗合バス亭から中房登山口まで行くことができます。乗合バスは穂高駅⇔しゃくなげ荘⇔有明荘⇔中房燕岳登山口に止まります。
乗合バスの時刻表と安曇野市穂高無料駐車場のご案内
乗り合いバスタクシーのお問い合わせ
安曇観光タクシー 0263-82-3113
南安タクシー 0263-72-2855   (燕荘HPアクセス情報参照)

登山ルート 中房登山口〜燕岳 4時間30分

19年9月11日(火) 天気快晴 朝6時35分中房温泉登山道出発
縦走用の荷物のためか、いつものコースタイムよりも30分も超過して燕荘に到着
毎度おなじみの、合戦小屋でスイカを食べた後登り始めると最初の「槍ヶ岳」が目に入る。写真は、2度目に見えた槍ヶ岳
燕荘縦走槍見1きのこ
燕岳登山はこちら(別画面表示)をご覧下さい。

登山ルート 燕荘〜大天井ヒュッテ 3時間20分

燕荘11時45分出発〜大下り12時40分〜喜作新道14時10分〜大天井ヒュッテ15時10分着
たて一道2蛙岩

燕山荘からの道は、最初なだらかな稜線歩きが、しばらく続く。燕岳独特の奇岩があちらこちらに見える。中でも有名なのは、写真右の『蛙岩』(ゲロウイワ)
よく見ると、上の部分が蛙の顔に見えなくもない。
こまくさ槍喜作新道

燕岳頂上付近にも、コマクサの群生地があるが、この辺りにも広範囲にコマクサが群生しているが、秋の山ではほとんど花は枯れてしまっていたけど、残された枯れかけた花でさえ、気品がある。
大下りを過ぎると『喜作新道』に入る。大正時代に小林喜作さんが、ショートカットコースを作ってくれた新ルートだそうです。鎖やはしごをかけて、歩きやすくしてあります。14:14
空くさりみち屋根大天井

燕山荘から約2時間半ほど過ぎたくらいから、『大天井岳』へ入る。尾根を登り、左は←常念岳・『大天井荘』 右は、→槍ヶ岳『大天井ヒュッテ』の看板に従い、右に進む。しかしこの道を選ぶと大天井岳の頂上には、行けないことがわかる。頂上に行くには、いったん左の道を選び頂上に上がったあとに、大天井荘に泊まるか更に進んでいけば、大天井ヒュッテにもいける。
この看板から道は、カーブの連続で曲がれども、曲がれども小屋は見えず。
そして相変わらず、誰にも会わないまま時は過ぎていく。大天井荘は、すでに喜作新道から見えていた少々不安が募る。14時50分
そうしているうちに、「大天井ヒュッテ」まであと20分という看板を発見!
何度も、何度もカーブを通りようやく、眼下に「大天井ヒュッテ」発見、屋根の上でペンキを塗っていました。15:09
ごはん小池さん

大天井ヒュッテの様子です。左は、今夜の晩ご飯です。基本は、とんかつですが、お好みで、魚にも変更できます。私は、魚にして頂きました。
右の写真は、大天井ヒュッテの支配人小池さん。素敵な山男です。

 大天井ヒュッテ(別画面表示)をご覧下さい。
朝飯小屋2外観大

【写真】左 朝食 真ん中 小屋ロビーにオリジナルグッズ販売 右小屋の入り口

登山ルート 大天井ヒュッテ〜ヒュッテ西岳 2時間30分

9月12日(水) 雨のち晴れ
雨の槍2日目は、朝6時25分出発。昨日の夕方から降り始めた雨がやまず、小池さんに見送られて出発です。
ちんぐるま雨ちび花

チングルマ   ミヤマココメグサ

雨の中、咲く花に微笑みをもらいます。ヒュッテ西岳まで、尾根歩きが続きます。
東は、風をしのげ、西は風と雨に打たれます。雨の中でも、槍ヶ岳はいつも見えています。

 びっくり平中岳山荘お弁当

雨の中30分ほどで、『びっくり平』に到着。何がビックリなんだろうか?7時
『ヒュッテ西岳』に8時55分に到着。ポカリスエットのペットボトルを500円で購入。
100円の有料トイレも拝借。大天井ヒュッテで作ってもらったお弁当(1300円)を半分食べる。

登山ルート ヒュッテ西岳9時13分〜水俣乗越(ミズマタノッコシ)11時01分  〜ヒュッテ大槍12時13分 3時間

木いちご赤い実中トリカブト中

ベニバナイチゴ オウヒョウタンボクの実 トリカブト

ヒュッテ西岳からの道は、約400Mを下っていきます。雨もやみ茂みの中からかわいらしい花や赤い実に、たくさん出会います。少し心を休めて花の撮影です。
露中岳からの槍

雲もどんどん動き出し、槍ヶ岳がより鮮明に見えてきました。9:20
「頑張っていくからね〜待っててね。」何度もつぶやきながら、歩く続けます。
最初のはしごパノラマ1

9時28分最初のはしごに遭遇。下に2段続き、その先は鎖場に繋がり、急な下りを安全におろしてくれます。
9時59分 雲がどんどん動き出して、槍ヶ岳がより鮮明に見え始めています。
下りを降りきった所が、『水俣乗越』です。この先から「東鎌尾根」が始まります。
パノラマ2ずんすん1

10:49 前を歩いているのは、学生のパーティです。テント泊まりの大きな荷物を担いでの山行きで、かなり大変そうでした。何度も抜かし抜かされつつ共に同じ方角を目指して、進みました。
水俣乗越の後は、細尾根のアップダウンが続きます。
はしご2はしご3

10:57最後の長い下りのはしごを見下ろして1枚
11:01下を見ないようにしながら、慎重に足を1段下ろし、確認して長い長いはしごを降りきります。
東尾根大槍看板大槍小屋

どんどん槍がまじかに迫ってくると 『ヒュッテ大槍』(別画面表示)の案内看板に遭遇。12:03
ヒュッテ大槍のベンチで、お弁当の残りを頂きながら、目の前の槍ヶ岳に思いを募らす。いよいよ!12:13

登山ルート ヒュッテ大槍12時35分〜槍ヶ岳山荘 13時25分 50分

目指すは
ドーンと大きくなった槍の穂先 12:50

振り向けば常念
振り向けば、いつも我が家から見える常念岳の裏側、なんと壮大で美しい!
12:50
危ない道1いよいよ槍小屋
東鎌尾根最後の難関をなんとか通行中  いよいよ小屋が目前!
13:04                      13:23
頂上槍頂上から
チェックインを済ませて、穂先に登る、シーズンオフのせいか登山道は空いていて上まで15分で駆け上る。(岩場はのんびりとは、登れない)14:14
狭い頂上ですが、最高の眺めと最高の気分で50分も滞在。
下り1下り槍2
下りも、こんな直滑降のはしごや鎖が続く。14:58  登りと下りはほぼ違うルートが設定されている。落ちないように慎重に下る。約15分 15:10
アルプスちえみさんの登頂記もご覧下さい。
生ビールかめららふとん大
最高の気分の中では、やはりどんなに高くても生ビールを飲まずにはいられない。1杯1000円の生ビールを片手に玄関前のベンチで一人で乾杯!15:40
穂先を登る人を眺めながら、いつまでたっても見飽きない槍の穂先や360度の山々の神々しさ。
写真真ん中 新まつもと物語でもおなじみの 『北アルプスブロードバンドネットワーク』(別画面表示)のライブカメラを発見!こうしていつも映像が送られているんだぁ。
写真左は、今夜の寝床 部屋ネイムは「山鳩」
槍山荘内部パン屋槍夕飯槍
『槍ヶ岳山荘』(別画面表示)の豪華さは、3000Mに位置する山荘とは思えないほど豪華だ。ロビーには、様々なオリジナルグッズや雑貨が販売され、飲み物の自動販売機や公衆電話、携帯電話のバッテリー充電器も1回100円で設置されている。『キッチン槍』には、生ビールや珈琲そして、スタッフ手作りのパンも販売されていた。右は、今夜の夕飯です。
ゆうひ1ゆうひ2ゆうひ3
ゆうひ4ゆうひ5
ゆうひ6

夕飯の後は、ありったけの服を着こんで「夕日ライブショー」を堪能。
360度の空の下、どこを見ても沈む夕日の恩恵を受けて空も山々も赤く、紫に染まり闇に溶け込こんでいく。
17:53 18:00 18:04 18:11 18:12 18:13

登山ルート 槍ヶ岳〜西鎌尾根〜双六山荘 約3時間30分

9月13日(木) 晴れのち曇り
西鎌入り口西下り
元気に朝食を頂いて、今日は裏銀座にお出かけ。6時25分小屋を出発。
東鎌尾根から西鎌尾根を縦走です。6:31
急な砂利道を下ります。6:42
槍ヶ岳からは、主に5つのルートがあります。1番一般的なのは、上高地へから真っ直ぐに上がるルート。2つ目は、穂高連峰を行くハードなルート。3つ目は、昨日私が歩いてきた東鎌尾根ルート。4つ目は、新穂高温泉から谷を真っ直ぐに下るルート。5つ目は、これから下る『西鎌尾根』を下り裏銀座へ向かうルートです。そして、番外編で『北鎌尾根』ルートもあります。が、上級以上の経験と技術がいる難関ルートです。
千丈乗越縦沢
歩いて50分ほどで『千丈乗越』に到着です。7:18
東鎌尾根と比べると、鎖もありますがさほどハードさはなく、稜線歩きを楽しめます。だあれもいないだだっ広い空間をたった一人でいることの幸福感。来た道を何度も何度も振り返り、行く道を立ち止まり、何度も見つめていきます。しかし、下っては、登り、下っては、登りの繰り返しに少々身体がバテテきました。出発前からの3日連続睡眠不足が、堪えます。極めつけは、この『縦沢岳』標高2754M この山を登りきった後に、いっきに下りまた前にも山が見える。これって、かなり辛い状況です。10:27
双六山荘小池新道
どんどん下って半分くらい来た時に、びっくり真下の谷に赤いきれいな屋根がみえました。これは、いったいなんだろうか?新しく出来た山小屋なのか。。。槍を出てから、荒野の世界から見るとオアシスのような山小屋10:54
 『双六山荘』(別画面表示)でした。私は、勝手にまた目の前にそびえる高い山に登らないと行けないかと思っていたので、なんと、まぁラッキーな。少し休ませてもらい、飲み物を調達してトイレを借りて出発です。
小池新道を通り、ずっと目下に見えていた『鏡平山荘』を目指します。11:41
弓折り鏡山荘1鏡夕飯
双六山荘から1時間ほどで『弓折乗越』に着きました。
ここは、真下に行けば、鏡平・真っ直ぐ行けば『笠ヶ岳』に行く分岐点です。ここからいっきに下に下っていきます。12:32
1時間ほどで、鏡平山荘に到着です。ここの名物は「かき氷」食べて見たいきもしましたが、やはりビールの誘惑には勝てません。ここまでもズーット来た道を眺め、槍ヶ岳も眺め、そうして小屋の部屋からも槍ヶ岳が一望できます。
きれいな池がいくつもあり、快晴の日には、おそらく池が鏡のように山々を映し出すのでしょう。とても美しいロケーションの小屋です。
写真右上 山荘レセプション 13:33   右下 今夜の夕飯 17:33
 鏡平山荘(別画面表示)もご覧下さい。
こちらからは、美しい山荘からの景色が見れます。
この日は、午後からどんどん雲が出てきて夕飯時にはとうとう山並みが雲の中に隠れてしまました。カメラの容量不足のために撮影を控えていたのが、アダとなり鏡平の美しい景色は、思い出の中です。

登山ルート 鏡平山荘〜わさび平〜新穂高温泉 約4時間

9月14日(金) 雨
下り小池14雨花
朝方から降りだした雨は、止まず。雨の中を6時25分に出発です。
大小の岩がゴロゴロとしている、滑りやすい道を転ばないように下ります。
連休前の金曜日のせいか、雨にも関わらずたくさんの登山者に行き違います。
6:37 8:01
わさび平を経て、新穂高温泉に到着 10時40分
☆バス停には、無料の温泉があります!
新穂高温泉 13時40分発 松本行き 約2時間で松本バスターミナルに到着
バス料金 2800円
燕あざみ赤い花たちなんか青い花
松虫草しろばな竜胆

夏に比べると、はるかに花の数は少なくなった分、出会う花たちにどんなに励まされたことかしれない。咲いていてくれてありがとう。自分もそんな存在になれたらいいなぁとつぶやく。

登山者の感想

びすたれ秋晴れ時々、雨のお天気の中、初めての山一人旅・初めての縦走は、猿にすごまれることもなく、無事下山することが出来ました。
いつも日帰りばかりで、いつか休みが取れたら縦走してみたい!そんな夢を持ちつつようやく今回ひとつの願いが果たすことが出来ました。
今回のコースは、人気のコースだけあり、とても素晴らしい眺めと歩きを楽しめました。また天気予報が雨マークばかりのためか、山の中はとても人が少なく静かな北アルプスを十分に楽しめました。
楽しい縦走のためのちょこっとアドバイス
4日間の行程の中で、最初の3日は1日7〜8時間歩行、最終日は、4時間
縦走に必要なのは、やはり体力が1番、身体の調子を整えることと、無理のない計画。そして体力や体形にあった荷物もとても大切だと思いました
ザック選びもショップのスタッフの方と相談しながら、身体のサイズにあって、使い勝手のいいものを慎重に選びました。
荷物もいろいろな方にアドバイスを頂きながら、軽量化に向けてパッキンしたのが、バテない勝因だったと思います。
天候のせいもあり、昼間は半袖でも十分ですが、紫外線がきついので、UVカットのサングラスと帽子は必要品です。夜は、標高の高い場所では、かなり冷え込みましたので、夕方外に出る時は、冬用のアンダーウェアに薄手のフリースと合羽を着込みました。

雨さえも楽しめることも、楽しい山歩きの秘訣かな!  

きれい空
空に誘われた山旅 晴れ時々雨のお天気。
大地と一緒に、雨の恵みを受ける喜び。
風雨にさらされ、身を委ねた時に手に入れる自由。
山の中にポツンといると、愛おしいほどちっぽけな自分。
大きなものたちへの、心からの感謝
【2007年9月11〜14日 登山者・記事 やまもと】