木製の巨大な男性のシンボルをかつぎ、温泉街を練り歩くという信州の奇祭です。
若い女性がリアルなシンボルにまたがることで、 厄除け・縁結び・子宝を祈願するという意味があり、50年の歴史を持つ伝統行事です。 宿泊客女性は、希望すれば順番にその上に乗ることができます。
くじ引き・振舞い酒・きのこ汁・夜店や「御殿太鼓」の演奏などが行われます。
*情報・写真すべて美ヶ原温泉旅館協同組合HPより頂きました。
【お問い合わせ先】組合加盟旅館へ
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毎年9月の第4土曜日に、美ヶ原温泉で行なわれ、奇祭として知られる、
「道祖神まつり」
興味津々で取材に行って参りました。
松本市美ヶ原温泉にある、御母家の姫薬師堂から、御神体を載せたお神輿が、スタートしてお祭りが始まります。かがり火の煙が漂う、なんともいえない雰囲気です。
では、お堂の方へ行って見ます。
(御母家=おぼけ)
お堂の前には、無料できのこ汁、振る舞い酒、くじ引きなどの露天で、お祭りの雰囲気を盛り上げていて、皆さん振る舞い酒などでお祭りを楽しまれています。
これが、御神体で巨木の男根道祖神です。お神酒で清められてお神輿のスタートです。姫宮の姫薬師堂の御神体は、もちろん女性をあらわしています。
美ヶ原温泉の道祖神まつりについて、少しご説明いたします。
温泉街の東北の高台に、松本十二薬師九番札所の湯の原薬師があります。
堂の創建は慶安4年(1651)とあり、由緒あるたたずまいの薬師堂です。赤松の美林に囲まれた堂の入り口には、お湯かけ地蔵が鎮座、その右に源重之と芭蕉の句が並ぶ斜面を登ると、石段の途中に通夜殿が有ります。通夜殿の石畳には大きな陰陽の踏石仏があり、本邦では珍しい物です。御神体には巨木の男根道祖神が二基安置奉られています。そのうちの一基が長さ160センチ、重量90キロの道祖神神輿です。
祭りは年に一度、御神体が通夜殿をお出ましになり、御母家の姫薬師に一夜の契りに通うロマン溢れるお祭りです。縁結びと除災招福を祈願し、その御利益を乗せた道祖神神輿は、街を練り、各旅館の玄関へと繰り込み、若い女性に福を授け、やがて通夜殿に喜び勇んで帰ります。これが道祖神祭りです。
早速、わがY記者も縁結びと除災招福を祈願し、御神体のお神輿に乗せて頂きました。
お神輿に乗った女性は氏子衆から、ポラロイド写真と福子宝飴を頂けます。
各旅館では、玄関で泊り客の女性をお神輿に乗せて「オイサー、オイサー、オイサー」の掛け声と共に前後に神輿を豪快に振ります。さながらロデオのようですね。
アメリカのカリフォルニアから来たというERINさん、楽しかったそうです。
一人で乗るのが怖いと、二人で乗る女性もいました。
ここが、御神体が安置されている通夜殿で、石畳には、大きな陰陽の踏石仏があります。
通夜殿に登る階段は狭く、かなりの急勾配です。担ぎ手の皆さんが慎重に御神体を運びます。
通夜殿に御神体をおろし、もう一段上にある薬師堂まで担ぎ手の皆さんは走って登り、そこでお参りをして、お祭りは終わりになります。
百聞は一見にしかず、ぜひ一度お出かけ下さい。
【記者の一言】
私は隣の町内に住んでいますが、このような結構リアルな御神体を担いだ お祭りが行われていたとは!! 知りませんでした。 確かに、夜7時頃から姫薬師堂をスタートして、通夜殿に戻るのが9時半過ぎというわけで、子供時分には知るはずがありませんね。 十数人の男たちが「オイサッ、オイサッ」 と女性を乗せて担ぐさまは、 必見かもしれません。たまたま、宿に泊まったお客さんにとっては、突然宿の玄関に、御神体が現れたときはびっくりしたことでしょう。 担ぎ手は地元(湯ノ原町)や信州大学の思誠寮の若い衆のようで。 地元だけでは、なかなか町おこしの祭りの継承が困難な時代なのでしょうね。やはり、ぬるめでよく温まる白糸の温泉と縁結び・子孫繁栄とは無縁ではなかったようです。
地元、発見・再認識のよい機会でした。
【記者の一言】
初めての見学でわくわくしながら写真撮影をしていると、後ろから「(女性が)居た、居た」と氏子衆にひょいっと服をつかまれ、あれよあれよという間にお神輿(ご神体)の上へ。視界が開け、大きなブランコに揺られているような乗り心地、嬉しいような恥ずかしいような・・・。そもそも「選ばれた女性」が乗るものだと思い込んでいたので大変驚きました。お神輿から降りる時の周囲からの拍手や「良かったね」という言葉は、広く皆の幸せを願う大らかなお祭りの表れでしょう。感激と有難い気持ちでいっぱいになりました。
旅館でお神輿を迎えた宿泊のお客さんも、その姿にびっくりされていました。お神輿と言えば社やお宮の形を想像しますよね。お祭りの素朴さ、大らかさに感動し、浴衣のまま、街を練り歩くお神輿を追う方もいらっしゃいました。
外国の方も多く、伝統ある温かいお祭りを理解し、大いに楽しんでいらっしゃいました。驚きや感動はもちろん、「良いお祭りだね。うらやましいよ。」という言葉もあり、誇らしい気持ちになりました。
お神輿を担いでいた大多数は信州大学の学生さんです。残念なことに地元の若者は少ないそうです。県外出身の学生さん達が一生懸命、そして爽やかに楽しみながらお祭りを盛り立てて下さった様子にも感激しました。
ご神体が姫薬師堂から薬師堂に帰るまでの様子を見られたことは幸運でした。道祖神様とのご縁でしょうか。
人々の温かさを感じられる素敵なお祭りです。ぜひ、皆さんもご体感下さい。