雨飾山 (厳冬期)。

所要時間:登り=5時間半。 下り=スキーなので1時間半。  レベル:
山行日: 2019.03.20
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雨飾山 (厳冬期)。

「雨飾山」は、長野県と新潟県の県境に位置する頚城山塊の一番西側にある山です。妙高戸隠連山国立公園になっています。標高は1963m。日本百名山のひとつになっています。

 

松本からのアクセス方法

<マイカーの場合>松本市内から国道147号線で白馬方面へ走ります。白馬村を越えて小谷村へ入り、南小谷の集落を越えて中土トンネルを出た所にある「小谷温泉口」という信号を右折して小谷温泉へと上っていきます。30分程走ると一番奥に「小谷温泉・山田旅館」さんがあり、3月ならその先は除雪させておらずここが行き止まりになっています。少し手前にコンクリートのスノーシェードがあり、そこに数台分車を止めても容認されているようです・・・。(しかし、これは容認なだけであり、駐車している車が溢れるとマナー違反になります。くれぐれもご注意下さい。) 今回は冬期の登山で除雪がされていないために、僕たちは「小谷温泉・山田旅館」の前から登山をスタートしました。

 

小谷温泉・山田旅館 → 荒菅沢。(3時間ほど)

僕たちはまだ真っ暗な4:40頃に山田旅館を出発。雪に埋まった林道をスキーにシールをつけてヘッドライトの明かりで登っていきました。この林道は、夏は「雨飾高原キャンプ場」へと続く林道です。 キャンプ場手前で、少しずつ明るくなってきて、目指す雨飾山が見えてきたのでした。

 

 

約1時間ほどで、雨飾高原キャンプ場に到着しました。 受付の小屋やトイレの小屋も全部雪に埋まっていました・・・。ここから先は少し下っていき、夏の登山道の辺りをトレースして歩いていったのでした・・・。

 

 

キャンプ場からは、雪に埋まった大海川の谷へ下りて歩いて行きました。この辺りは夏には通れないところなのですが、雪の上だとどこでも歩けます。景色も夏とは全然違う景色になっていて幻想的です・・・。そして、雪に埋まっているのでとてもフラットな感じになっていて歩き易かったので、スキーでどんどん先へと進んでいきました。 この辺りでようやく陽が上がってきて、明るくなってきました・・・。

 

GPSを使って雪に埋まっている夏道をトレースして、大海川からブナの斜面へと登っていきます。しかし、早朝はまだ寒くて雪の斜面がカチカチのアイスバーン状態になっていたのでシールが滑って登れません。なので、いきなりスキー板を担いでアイゼンで登ることになったのでした・・・。 しかし、ツボ足になると所々ズボッと膝まで埋まってしまう非常に難しいセクションになりました・・・。最初の登攀でいきなり体力を奪われてしまったのでした・・・。

 

最初の尾根を登りきると、また少しフラットになるのでスキー板にシールを履いてトラバースをかけていく。荒菅沢に出る手前で、この写真のP2峰が見える広大な斜面に出ます。ここはたくさんのスキーのシェプールがありました。 ここまでは比較的簡単に入ってこれるので、BCスキーヤーの人達が入って滑っているのだと思いました。 でも、今回の僕たちは雨飾山山頂を目指しているので、ここを右へとトラバースして先へと進んでいったのでした。

 

P2峰の見えていた斜面から、いよいよ荒菅沢へと下りていきます! シールを外して荒菅沢へ下りる200mほど斜面をスキー滑降したら、この斜面が3月なのにまさかのドライパウダーで、思わず歓喜の雄叫びが上ってしまったのでした! この斜面は北斜面になるのであまり陽が当らなかったのか、パウダーが残っていてとても気持ち良かったのでした!
 
 

荒菅沢 → 笹平。(2時間ほど)

荒菅沢を渡って対岸へ登り、そこからまたスキーにシールを付けて登って行きます。 対岸に上ると、やっと雨飾山の全容が見えてきたのでした。 圧倒的な岩峰の布団菱!、その右側に雨飾山の山頂が見えます!

 

この先は狭い雪の尾根になるので、スキー板を担いで登って行きました。夏道だとこの辺りにはハシゴがたくさんあるところだと思います。 この日は雲ひとつ無い快晴の青空になったので、暑いぐらいの気温になって雪が緩んだので、ツボ足が埋まってラッセル登攀が苦しかったです。

 

それでも、4時間半ほどで稜線の「笹平」に到着しました! バックには焼山が見えてきたのでした! 焼山は少し噴煙を上げていました・・・。 ツボ足での登攀になったので、太腿がとっても疲れてパンパンでした・・・。それでも、苦しい急斜面の尾根の登攀の末に見えたこの絶景に、思わずため息がもれたのでした・・・。

 

そして、稜線に上ったら、ようやく雨飾山の山頂が見えてきたのでした。

 

 

笹平 → 雨飾山山頂。(30分ほど)

稜線の「笹平」は水平な地形なので、もう一度スキーを履いて「笹平」を水平移動していきました。 向こう側には、糸魚川市、そして日本海が見えました! 絶景でした!

 

そして、雨飾山の山頂手前の最後の急斜面を、アイゼンにピッケルのフル装備で一歩ずつ慎重に登っていったのでした・・・。

 

そして、山田旅館をAM4:40頃にスタートして、5時間半と少しの10:15頃に「雨飾山」の山頂に登頂出来たのでした!!
厳冬期のコースタイムは7時間ほどですが、僕たちは5時間半程で登りきることが出来ました。でも、厳冬期の登山の時間は雪質によって大幅に変わります。なので余裕ある時間どりの登山予定をお願いします。

 

雨飾山山頂からの景色。

「白馬連峰(後立山連峰)」

西側には、白馬の峰々が全部見えました! 真ん中少し左側にある台形の山が「白馬乗鞍岳」。そこから一つ右の三角が「雪倉岳」で、
右側の一番高くて丸いのが「朝日岳」である。たくさんスキー場のある所は左奥方面です。 雨飾山からの白馬の眺望は本当に素晴しいです。特にこの厳冬期の真っ白な白馬連峰を一望できるので、素晴しく美しいです!

 

「焼山(2400m)」
雨飾山から東側には、この焼山が大きく見えていました。そして焼山の右奥に尖って見えるのは「火打山(2461m)」です。

 

「高妻山(2353m)」
戸隠連山の最高峰であり百名山の「高妻山」。方角としては南東方面に見えます。一際大きく見えるのでスグに分かります。

 

下り。雨飾山山頂 → 山田旅館 (約1時間半ほど)。

僕達はスキーで雪山登山をしたので、帰りはスキーで荒菅沢を滑って、その後は登ってきたところをトレースして帰って行きました。なので帰りはとても速くて1時間半ほどで下山しました。超急斜面の荒菅沢のスキー滑降は、長年してみたかった夢だったので、とてもシビれたスキー滑降となりました!

下山は、スノーシューやアイゼンにワカンなどの冬山登山なら、下山にも登ってきた時間と同じぐらいの時間はかかると思います。くれぐれも時間にはご注意下さい。

 

【注意!】今回の「雨飾山、厳冬期」は、冬山登山なので冬山登山に慣れているクライミングギアが取り扱えるエキスパートの方のみが行くことが出来るルートです。ピッケルとアイゼンを使いこなすスキルが必要ですし、冬山での行動に慣れているのはもちろん、マイナス気温での体温管理もたいへんで非常に厳しいです・・・。もし、この「雨飾山」の厳冬期の登山に行ってみたいと思われる方は、必ず!冬山登山が出来る専門の山岳ガイドさんと一緒に行って下さい。くれぐれも、よろしくお願いします。

【登山者・記事 ハタゴニアン】