唐松岳 →唐松沢Dルンゼスキー滑降《残雪期》

所要時間:5時間  レベル:
山行日: 2013.04.17
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唐松岳 →唐松沢Dルンゼスキー滑降《残雪期》

今回は、厳しい雪山期の白馬の峰々の中でも、まだ比較的簡単に登れる「唐松岳」へと、残雪期登山→「唐松沢Dルンゼスキー滑降」というルートを、1日で日帰りを決行してみました。
雪山の斜面をスキーで滑る事が大好きな「山岳スキーヤー」な僕が、長い間憧れていた代表的な山岳スキールートである「唐松沢Dルンゼ」。ここまで僕は白馬スキーに行った時にいつも「いつか、この一筋の美しくスティープで巨大なラインを滑ってやろう!」と狙っていたのですが、コンディションやパートナーとのタイミングが合わず、ここまで滑れずにきてしまっていたのです・・・。しかし、今シーズンは必ずあのラインに自分のシェプールを刻んでやろうと思っていたのです。そして、同じ山岳スキーヤーから「決行」の連絡が急遽入り、白馬へと車を走らせたのでした。ついにその時が来たのです!

 

八方尾根スキー場~八方池(1時間)

アクセスについては「唐松岳」のページをご覧ください。→
唐松岳 八方尾根コース

白馬・八方尾根スキー場からゴンドラとリフトを乗り継いでゲレンデの一番上部にある「八方池山荘」まで上がって行きます。そこからスキーにシールを付けて歩いて登って行きました・・・。

 

スキー場のリフトを使ってのアクセスなので最初から標高が高く、登り始めるとスグに素晴しい山岳景色が目の前に広がって来ます! この日は天気も良く青空が広がっていて、白馬三山もキレイに見えました。

 

「八方池」までは約1時間かからないぐらいで到着。雪で覆われてどこにあるのか分からない「八方池」なのですが、そこからは「白馬三山」が雄大に見えます(北側)。左から「白馬鑓ヶ岳」、「杓子岳」、「白馬岳」です。

 

南側には「五竜岳」も(右側の大きい山)素晴しく大迫力で見えていました!

*この「八方池」までなら、アイゼンとピッケルなどの冬山装備があって晴れれば、どなたでも行けてこの画像の様な白馬の山々の景色が楽しめると思います。ここから先は細い稜線のリッジになり危険度が飛躍的に上がるので、経験者の方やガイドさんと一緒に行く事をオススメします。

 

 

八方池~唐松岳山頂(2時間)

八方池からは雪の尾根伝いにどんどん登って行きます。途中、画像の所には「丸山ケルン」という大きなケルンがあります。そこまではまた約1時間程かかりました。バックには、これから目指す「唐松岳」の山頂(左)、「不帰の瞼」(右)、そしてスキーで滑る「唐松沢Dルンゼ」が2人の間に見えます。コチラも圧倒的な大迫力で見る事ができます。 そして、ここからはスキーを担いでアイゼンにピッケルに装備を交換して急斜面や岩場を登って行きました。

 

「唐松岳山荘」の手前の岩場を何とか乗り切って稜線に到着しました。ここからは目指す「唐松岳」がもう目の前になってきます! ここからの最後の稜線は風がとても強くて飛ばされそうでしたが、一歩ずつ確実にアイゼンのツメを雪に蹴り込んで登って行きました。

 

振り返れば、「唐松岳山荘」はまだ半分以上も雪に埋もれていました・・・。しかし稜線の向こうはなぜか雪が少なかったです。風の吹き方によって、雪が吹き溜まる所と全く無い所が出来るのは稜線の面白いところですね。

 

そして、歩く事3時間程で「唐松岳」山頂に登頂成功しました!! 風がとても強かったですが、何事も無く無事に登頂出来ました。

 

「唐松岳」山頂からは360°の素晴しいパノラマの山岳景色が見れました。向こう側は「立山連峰」の山々で、雲がちょっと多かったですが「立山」はもちろん「剱岳」も見る事が出来ました。

 

 

唐松沢Dルンゼのコルスキー滑降~二股(2時間)

登頂成功で喜んでばかりはいられません・・・。僕たちにはまだ「唐松岳Dルンゼ」スキー滑降があるのです! 山頂からクライムダウンを10分程すると、この画像の「唐松沢Dルンゼ」が目の前に広がります。ここからこの広大で超急斜面をスキーで滑って帰るのです! 最初の滑り初めが45°~50°程もあり、雪崩の危険性もあって緊張しました・・・。

 

唐松沢のコルからドロップ・インして、いよいよスキー滑降が始まりました!! 最初の1ピッチは50°近い超急斜面で自分が滑った落とした雪(スラフ)のコントロールがちょっと難しかったですが、少し滑ると斜度は落ち着いてきて滑り易くなっていきます。しかしこの日は気温が暖かくて雪がとても重くて、この重い雪質にも苦労しました・・・。それでも夢が現実になった瞬間だったので、喜びと達成感で胸をいっぱいにしながら歓喜のシェプールを描いて行きました!!

 

そしてその後は、「唐松沢Dルンゼ」の2000m近い標高差を一気に滑って行きました~。どこまでも、どこまでも、太腿の筋肉が続く限り夢の斜面でのスキーを楽しんで滑って行きました~。

 

最後は唐松沢を雪のある限りスキーで滑り、その後はスキーを担いで延々と林道を歩いて帰って来たのでした・・・。今回も何事も無く帰ってくる事が
出来たのでした・・・。

 

かくして!!、
今回もまた憧れのルートを滑る事が出来て、夢が現実のモノになったのでした!
夢だったあののラインに、自分のシェプールを刻む事ができたのでした!!
そして、ここまでの全ての人生の経験と技術を一瞬のスキー滑降につぎ込んで、
濃縮された本物の時間を感じられたのでした!!・・・・。

*今回の「唐松沢Dルンゼ」スキー滑降は、冬山登山と山スキーのエキスパートの方のみが出来るルートです。唐松岳登山だけなら前日に「八方池山荘」に1泊して翌日朝早くに出発して帰って来るという日程が一般的です。雪山登山に行きたいと思われる方は、必ずガイドさんと一緒に行く事をオススメします。

【2013年4月17日実施 登山者・記者:ハタゴニアン】