奥穂高岳・前穂高岳

レベル:
山行日: 2008.10.18
47
標高:奥穂高岳(3,190m)前穂高岳(3,090m)
奥穂高岳・前穂高岳

写真:前穂高岳山頂から見た上高地・焼岳・乗鞍・御岳山
北アルプス穂高連峰の最高峰、日本第3位奥穂高岳上高地から涸沢経由で登り、前穂高岳を経由して岳沢から上高地に下りる1泊2日のコースをご紹介します。
1泊2日の場合、標高差1700mを、2日とも7~9時間歩くので、かなりの体力が必要です。体力に自信がない場合や天候が悪い場合、前穂高岳をパスするか、山小屋で2泊する方が無難です。
紹介するのは、重太郎新道の長い急登を避けて、涸沢から登って岳沢から下りる一般的なコースですが、穂高岳山荘の方によると、急登を登る体力があれば逆回りがお薦めだそうです。登るより下る方が難しく、疲れが出る時に下るのは危険だし、岳沢から登る方が景色が良いからです。
奥穂高岳の標高は3190m、前穂高岳の標高は3090mです。

上高地〜涸沢(急いで5時間)

まずは、明神、徳沢、横尾を経て涸沢まで、ゆるやかな長い登りです。

今回は、涸沢の紅葉はほぼ終わっていましたが、途中の標高1000~2000m付近はちょうど見頃で、美しい山岳紅葉を堪能しながら歩きました。紅葉情報 の記事もご覧ください。

 徳沢付近のカラマツなどの黄葉        沢の手前、ナナカマドの実

涸沢〜《ザイテングラード》~穂高岳山荘(少しバテて3時間)

涸沢からは、涸沢ヒュッテの上から左上方の奥穂高岳やとんがった「涸沢槍」を目指して登ります。名前通り涸れた岩場の中を、○や×の目印を気をつけながら歩きます。
見晴らし抜群のこのコースは「パノラマコース」と呼ばれ、カールは夏は高山植物のお花畑になります。


カールには、このまま万年雪となる去年の雪が、その上の奥穂高岳には今年降った雪が少し見えます。
途中、涸沢小屋方面に戻るコースと分岐します。
やがて、「ザイテングラード」というコースになります。凄そうなドイツ語の名前の通り、だんだん勾配がきつくなり鎖やハシゴもあります。ガレた岩場を歩くのは足を傷めやすいので要注意です。眼前に穂高の山々、振り返ると涸沢の向こうに常念岳を見下ろす絶景!
上高地から約8時間、穂高岳山荘に到着。山荘は外側はきれいで、中には、薪ストーブやランプが心地よい休憩室があります。

穂高岳山荘~奥穂高岳(40分)

美しすぎる御来光を眺めてから、穂高岳山荘の横から奥穂高岳に登ります。

いきなりハシゴのある急斜面です。起き抜けに3000mの高度で酸素が薄く、深呼吸しても空気が入ってこない感じです。十分に慎重に20分ほど登ると、上級者用コースの西穂高岳方面の「ジャンダルム」「ロバの耳」などが見えて来て、傾斜も楽になります。

奥穂高岳山頂
奥穂高岳山頂から見た槍ヶ岳とその左に水晶岳・黒部五郎岳

ほこらが立つ奥穂高岳山頂は、人が2~3人のスペースしかありません。ここが長野県一、日本でも3番目に高い地点に立った感慨に浸るより前に、360度、長野県・岐阜県・富山県の名だたる山々が全部見える、しかも上から見おろすということに感動!
なお、日本で2番目に高い山は、奥穂高岳より3mだけ高い南アルプスの北岳で、山梨県にあります。

奥穂高岳~紀美子平(1時間半)~前穂高岳往復(40分)

奥穂高岳山頂を越え、前穂高岳方面に、「吊尾根」と呼ばれるコースを歩きます。「南陵ノ頭」を過ぎてから急な下りになります。
途中の崖に雷鳥(ライチョウ)発見!お腹の毛が、冬用に白くなっていました。

富士山と南アルプス
紀美子平

誰が名付けたか、「紀美子平」という女性の名前が付いた場所に到着。ここでザックを置き、左手の前穂高岳への急斜面を登ります。ここも岩場でコースを間違えやすいので○印を確実にたどりましょう。

前穂高岳の山頂は、奥穂高岳よりずっと広く、眺めもすばらしくて、下りずにずっとここにいたい気分です。上高地を見おろすと、河童橋も、小さく見えます。
写真は、槍ヶ岳と、その右奥に黒部・後立山連峰の山々です。

上高地とその右の西穂高岳の稜線

紀美子平~《重太郎新道》~岳沢(2時間)~上高地バスターミナル(2時間)

これまた凄そうな名前の重太郎新道。その通り、急勾配の下りが続きます。前半に、写真の長い鎖があります。疲れているため、このルートで命を落とす人もいるので十分慎重に下ります。「雷鳥の踊り場」と呼ばれる場所で、眼下の上高地や乗鞍を見ながら腰をおろして休憩です。

後半には、ザイルを頼りに下りる部分があります。「カモシカのお立場」という名前の岩があり、最後の長い長いジグザグの下りを下りると岳沢です!
岳沢からは、昨年の上高地〜岳沢の記事をご覧ください。今回はちょうど美しい黄葉が見られました。


登山者の感想

jonen_akira.gif10月中旬で、氷点下の寒さを覚悟して防寒具をたくさん持っていたのに、秋晴れの好天にも恵まれ、行動中は暑いぐらいで拍子抜けでした。
さすがは全国のクライマーが目指す穂高連峰、登りも下りも厳しいですが、その分、他では見られない光景が見られて感謝感激。
【2008年10月18日~19日 登山者・記事 常念あきら】

アクセス方法:槍ヶ岳 槍沢コースのページのアクセス方法の説明をご覧ください。