堂津岳《残雪期》

レベル:
山行日: 2008.05.04
49
標高:1926.6m
堂津岳《残雪期》

堂津岳(どうづだけ)は、長野県の長野市、北安曇郡小谷村、新潟県妙高市にまたがる標高1926.6mの山。信州百名山の一つ。堂津岳への登山ルートは、かつては道として存在していたようですが、現在は根曲竹が生い茂り無雪期の登山は困難です。積雪期は竹も雪の下になるのですが、奥裾花自然への道が封鎖されているために登山口に近付くことができません。したがって、奥裾花自然への道が開通する4月下旬から5月はじめまでの残雪期のみ登ることができる短い期間限定の魅力的な登山になります。長野市のホームページによると2009年の開通予定は4月24日です。
実は、帰りの下山途中で道に迷いました。地図は行きのルートです。このルートを往復すれば良いはずです。残雪期の所要時間の目安は(特に問題がなければ)登り約5時間、下り約3時間30分。

アクセス方法

マイカーの場合 松本市から国道147号線を大町方面に進みます。大町市の信号機「一中東」で右折して県道31号線に入ります。信号機「青具」を右折して県道31号線に進み、途中で左折して県道36号線に入ります。上水内郡小川村の「アルプス展望広場」で西の山々を眺めてください。素晴らしい眺めです。展望広場にはトイレもあります。さらに県道36号線を北に進み信号機「鬼無里」で左折。途中で右折すると県道435号線に入ります。奥裾花自然園に行く途中に料金所があります。自然園の入場料が必要です。大人(中学生以上)400円。人数分の入場料をお支払い下さい。松本から奥裾花自然園駐車場までの所要時間は2時間弱です。
公共交通機関の場合 松本からJR篠ノ井線を経由してJR信越本線「長野駅」下車。長野駅から川中島バスで「奥裾花自然園入口」下車。

奥裾花自然園駐車場(標高約1150m) 7:30

車道を歩きます。ウォーミングアップにちょうどいいです。

中西山登山口(標高約1250m) 8:05

中西山登山口ブナ林
中西山登山口にはトイレがあります。
ブナ林の中の残雪上を歩きます。つぼ足のため、突然膝上まで雪にもぐることが度々ありました。残雪の上には木の皮や枝などが落ちていて、人が歩いた跡がわかりにくく、ルートを探すのに手間取りました。この時はザラメ状の雪のため結局アイゼンは装着しませんでした。
もう少しで尾根
尾根に出る手前は急坂です。

稜線コル(標高約1620m) 9:20

コルから堂津岳を望むコルからの眺め狭い残雪広い残雪
ゆるやかな尾根(小さなアップダウンの繰り返し)を歩きます。尾根は全体的に広く気持ちよく歩けました。南風が吹いていました。
1箇所尾根の雪が溶けて根曲竹の広い藪が現れていたので、少し迂回して歩きました。竹の上に乗ると滑るので気をつけてください。

急登 残雪あり 10:35

急な登り
風がやむとムワ~ンと暑くなります。この日の長野市の最高気温29.5度。

さらに急坂 残雪なし 11:35

痩せ尾根ショウジョウバカマ
ザレた痩せ尾根の前後は背丈以上の藪漕ぎ。藪漕ぎは奥又白池を思い出させましたが、笹の丈はもっと高い。潅木や笹を掴みながら登ります。藪の中にはショウジョウバカマ、カタクリ、ヒメイチゲなどが花をつけ、足元にぞくぞく生えているギョウジャニンニクの匂いが漂っていました。

再び残雪上 11:50

ロシアンルーレットの場所
途中の足場の雪の下が空洞になっていて片足分の小さな雪の橋状態です。ロシアンルーレットのような気分でした。「私のこのひと足で崩れるかも」という感じ。一番の恐怖どころです。他にも雪の大きな段差の箇所がありました。
笑ってしまうほどの絶景
後ろを振り返るとあまりにも素晴らしい眺めに思わずワハハっと笑ってしまう。なぜでしょう。

頂上 12:20

広い頂上周りの山がすぐそこにあっちもこっちもすばらしい
想像以上に広く、眺めのいい頂上。雨飾山、妙高山、高妻山、戸隠山、北アルプスなどが間近に見え、山がせまって来るように感じます。こんなに迫力を感じるられる場所は少ないのではないでしょうか。

下山開始 13:10

登りで怖かったところはさらに怖く感じる。それでも残雪上の下りは楽です。

稜線コル(登ぼりのときに出てきた場所と違う) 14:45

ここで間違えた
ピンクのリボンが木に巻きつけてあったため登山道かと思い下ってしまいました。そのまま林の中に入り、リボンを頼りに下りましたが途中で見失ったりして何度も登ったり下りたり。
平坦なところに着いても場所が特定できず、コルから下ること2時間後に自然園内の「ミズナラの巨木」の看板を見つけ、散策道を発見。人影も見えて何とか帰る道がわかる。おかげでミズバショウを楽しめました。
何とか帰れる目処がつく輝いて見えたミズバショウ

中西山登山口 17:15

迷っている間に体力を消耗してしまい、下り坂なのに思うように脚が進みませんでした。時々振り返って堂津岳を目に焼き付けました。「良くあそこまで行けたものだ」

奥裾花自然園駐車場 18:00

クタクタのヨレヨレで到着。
(白馬経由で帰宅)
車で10~15分ほど下った所で落石のためしばらく通行止め。巨大な石が落ちて、ぶつかったと思われる木が3本ほど根っこから倒されて道に落ちていました。
奥裾花自然園については
長野市役所 奥裾花自然園だより をご覧下さい
鬼無里支所産業振興 TEL 026-256-3169
たいてい下山して下界で大勢の人を見ると現実に引き戻され「ちょっとがっかり」することが多いのですが、今回は遭難しかかっていたので人影を見たときには「生きて帰って来られて良かった!」とうれしくなり、元気になりました。
積雪期の登山は本当に怖いです。ルートがどこかわからなくなってしまうので、自分でわかるように印をつけることが大事だと思い知らされました。迷ったと思ったらすぐに引き返すことが大事です。登るのが面倒で引き返さなかったことがいけなかったでしょう。
何があるかわからないので、非常食も必需品です。まさか下山途中で迷うとは思っていなかったので、気温が高くのどが渇いていたので尾根で水筒の水を飲み干してしまいました。林の中で迷っているうちにのどが渇き、沢の水を飲んでいました。沢が見つからなかったらどうなっていたことか。いざとなったら残雪を食べたかもしれませんが、特に水は余分に持っている必要があると感じました。
とにかく過信は禁物だと心に刻み付けました。
  【記者・登山者 アルプスちえみ】